こんにちは、ぽんぽです。ジェラルド・バトラー主演映画「ハンターキラー潜航せよ」が面白過ぎたのがきっかけで「潜水艦映画」はやっぱり最高だなと改めて思いまして。他にも何か「潜水艦映画」ないかなと探していたらフランス映画である本作を発見し鑑賞へ。では本作の製作秘話含めた感想(ネタバレ)、紹介していきたいと思います。
目次
「ウルフズ・コール 60点(感想ネタバレ)」
作品情報
2020年劇場公開 フランス ジャンル:アクション 監督&脚本 アントナン・ボードリー 出演者 フランソワ・シヴィル、オマール・シー、マチュー・カソヴィッツ、レダ・カテブ
あらすじ
並み外れた聴覚をもつシャンテレッドは、フランス海軍原子力潜水艦チタン号に特別分析官として乗艦していた。わずかに聞こえる音を頼りに敵の動向を探るのが彼の重要な役割だったが、シリアでの潜航任務中、怪しげな音に気づいたものの識別に失敗し、その判断ミスから危機を招いてしまう。「黄金の耳」とまで言われるシャンテレッドの耳を惑わせたのは、まるでオオカミの歌(呼び声)のような正体不明のソナー音だった。再びその音が聞こえてきたとき、シャンテレッドは大きな決断を迫られる。(映画comより抜粋)
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ドラマ部分が多めな潜水艦映画は水中音響戦アナリストの主人公が新鮮!
音のみで敵の潜水艦を察知するお仕事「水中音響戦アナリスト」の主人公シャンテレッドが新鮮です。よくハリウッドの軍事アクション映画でヘッドフォンをしてる潜水艦乗組員がいますよね?「あ〜あれが水中音響戦アナリストって役職なのか、へぇ〜」と意外な軍事的豆知識を得られて地味に嬉しいですw。 潜水艦乗組員ら特有の用語が飛び交う仕事ぶりも楽しいです。 乗組員が軍事ヘリコプターの事を「芝刈り機」と呼んでいたり、水中音響戦アナリストである主人公が潜水艦とクジラを音で判別するのに苦労する場面は興味深々ですw。 意外なのは本作ってドラマ部分が多めなんですよね。 もちろん冒頭はフランス軍潜水艦vsシリア軍事ヘリ攻防戦があるし、壮大な海を航行する潜水艦のシーンは軍事アクション映画らしい面もあるのですが、基本は謎のソナー音「狼の歌」を発信する敵潜水艦の正体を探るドラマ部分が大半なのです。 軍事アクションを期待していた身としては拍子抜けしてしまうのですが、意外とこのドラマ部分がサスペンスフルで面白いんですよね。 何故なら主人公シャンテレッド役の主演フランソワ・シヴィルがまぁ魅力的なのです。 何てったって、ソナー音に耳をすますフランソワ・シヴィルはフランスのイケメン俳優の名に恥じない顔面w。 艦長の期待を背負いつつも敵を前に自慢の聴覚が役に立たなかった事への悔しさ、そして敵潜水艦への探究心が入り混じる繊細な天才ぶりを見事に演じております。 ルールを無視して独自に捜査を始める姿は言わば繊細で乱暴しない「24のジャック・バウアー」(上手い事言ったゾw)。 上司のキーボードを打つ音を耳コピして機密アクセス用パスワードを探り当てる時の圧倒的な聴覚を発揮する天才ぶりがあり得ないけど、カッコいいんですよねw。 繊細さと探究心溢れる天才シャンテレッドが徐々に敵潜水艦の正体にたどり着く様子は普通にサスペンスドラマとして出来が良いので軍事アクションが無くとも退屈知らずです。 そして主人公を取り巻く上司の潜水艦艦長らも魅力的でドラマを盛り上げてくれます。 敵潜水艦を見失うミスにより、フランスとロシアは核戦争一歩手前まで関係が悪化。自分のミスを悔いる主人公シャンテレッドに「お前を信じてる」と頼もしく鼓舞するグランシャン艦長の「ザ・海の男」っぽさが最高にシビレます。ドルシ副艦長が潜水艦乗りのモットー「死は静かに遂げること」を主人公シャンテレッドに教える所も地味にカッコいいし。 潜水艦の艦長って知的さが魅力的な上に狭い潜水艦だからか、部下との距離感の近さもあって親しみやすさと厳格さを持った頭の良い理想の上司な感じが堪らんですなw。 潜水艦による軍事アクション少なめでドラマ部分が大半を占めるも、珍しい設定である「水中音響戦アナリスト」の主人公と頼もしい潜水艦艦長らの存在により、新鮮な軍事ドラマが楽しめます。
耳をすませば滅亡のソナー音!狼の歌に翻弄されるフランス軍は怖い?
謎のソナー音「狼の歌」を発信する敵の正体はロシアと思いきや、ジハード主義のテロリストだったとは! 二転三転する軍事サスペンスドラマに気分はウキウキです。 テロリスの策略にハマり、ロシアとの核戦争に突入するフランスは原子力潜水艦のグランシャン艦長に核攻撃を命ずる事態に。 そこで面白いのは途中で策略に気づき、ロシアへの核攻撃を中止しようとするフランス政府の意向をグランシャン艦長が無視する展開です。 「大統領により下された核攻撃命令は覆せません。軍の掟ですから」の一点張りでロシアを核攻撃しようとする原子力潜水艦レフローヤブル号とグランシャン艦長に違和感を感じるんですよね。 「いやいや、ロシアが核攻撃した訳じゃないし、フランス大統領が勘違いだったと言ってるんだから攻撃中止すればいいだけじゃん」と。 フランス政府と大統領による命令撤回すら無視するフランス軍原子力潜水艦と艦長って、あり得ない荒唐無稽さ。 こういうあり得ない軍の暴走を描くって事はもしや頭の弱い左派的な思想をアントナン・ボードリー監督は持ってるのかと思い最初はガッカリするんです。 しかし、よくよく考えてみると、一見するとあり得ない行動をする原子力潜水艦艦長グランシャンの行動には徐々にリアリティを感じてくるんです。 というのは「核戦争の最中に於いて軍隊はどう動くのか?」という点です。 お互いに核ミサイルを撃ち合う核戦争の先に待ってるのは世界滅亡ですよね。では万が一、フランス政府が消滅した後、フランス軍はどう動くのかというと、命令撤回がされない限り戦い続けるんですよね。恐らく核攻撃をしてきた敵国を殲滅するまで、ね。 そもそも核ミサイルによる抑止力って 「お互いに核ミサイル撃つのはやめようね。もし撃ったら、どちらかが滅びるまでトコトン戦う事になるからね」 って事ですもんね。 要するにグランシャン艦長はフランス政府が消滅したとしても敵国ロシアを殲滅する為に行動し続ける虐殺モードになってる訳です。 しかも、この虐殺モードは別にグランシャン艦長の頭がおかしくなった訳では無く、核戦争中のフランス軍が取るであろう当たり前の行動なんですよね。 あとフランス軍だけじゃ無く、アメリカ軍も同じ雰囲気ありませんかね? 例えば、ホワイトハウスに核ミサイル撃ち込まれてアメリカ政府が消滅した場合は、恐らくアメリカ軍で一番偉い軍人が絶対に核ミサイルによる報復攻撃を実行しそうですし。 カントリーロード〜この道〜ずっと〜行けば〜核戦争〜(泣) うーむ、正に耳をすませば世界滅亡!(ジブリアニメ好きw) なんとなく聞こえてきたソナー音「狼の歌」に翻弄されて、核戦争にひた走るフランス軍は怖いかも? って思いがちですが、これはフランス軍だけの問題では無く、国防を担う軍事組織を持つ国なら全て当てはまる問題かと。 そう考えるとグランシャン艦長の行動はあり得ない行動と言えなくも無いし、そこにはある種のリアリティもあるんですよね。 核戦争になったら、国防軍は自国が消滅したとしても戦い続けますよ。 一度下された命令は絶対ですから!(エヘン) といった感じで核戦争に突入した世界は地獄と化す事を示唆するグランシャン艦長の姿にゾッとしましょう。
終盤はシャンテレッドの天才的聴覚が活躍する場面が少なくなるのが残念!
何がなんでもロシアを核攻撃しようとする原子力潜水艦艦長グランシャンを止めるべく、副館長ドルシと主人公シャンテレッドは潜水艦チタン号で追跡へ。 テロリスト、もしくはロシア軍との戦闘を期待してたら、まさか最終決戦はフランス原子力潜水艦vsフランス潜水艦ってのが捻りの効いたフランス映画っぽいです。 この捻りが効いた展開は好きなんですが、フランス映画なので予算の関係もありそうw。ロシアなどの他国を相手にした潜水艦戦闘シーンはお金かかりそうだからフランス軍同士の潜水艦にしとこう、、みたいな(憶測MAXw) そして、捻りが効いた展開ながら、最新鋭の原子力潜水艦に機能面で劣る旧型潜水艦チタン号が挑む構図は潜水艦映画好きとしては燃えます。 しかも副艦長ドルシと主人公シャンテレッドが戦うのは勝手の信頼する上司って所が何とも泣ける男のドラマですな。 しかし終盤、フランス潜水艦同士の戦闘シーンに突入してからは不満な点がチラホラ。 まず、主人公シャンテレッドの天才的な聴覚が活躍するシーンが少なくなるのが不満です。 原子力潜水艦に挑む際には、さぞや天才的な聴覚が役立つかと思いきや、同乗するアルフォスト提督の活躍ぶりが凄くて、主人公の影が薄くなってしまうのです。おじいちゃんだし、上層部だし、この手の危機的状況だと足を引っ張る系のキャラな筈なのに、このアルフォスト提督は意外と有能な戦いっぷりが逆に主人公の天才的な聴覚って設定を殺してしまう残念さ。 ここら辺もフランス映画っぽい、先が読めなさですねw。 そして副艦長ドルシの犬死っぷりも不満です。 グランシャン艦長を説得すベく、危険を承知で原子力潜水艦レフローヤブル号に乗り込もうとするも、魚雷ミサイル発射に巻き込まれ溺死するのです。これだけ魅力的なキャラがこんなしょうもない死ぬ方をするとは、、ふ、不満しかないゾ(泣)。潜水艦映画の歴史に刻まれるレベルの犬死w。 流石はフランス映画?先が読めないです(2回目w) 相討ちとなり双方の潜水艦が沈む中、主人公シャンテレッドがグランシャン艦長を説得するシーンも超不満です(怒) 「ロシアを核攻撃しないで下さい。俺を信じて下さい」と緊急電話で説得するのが盛り上がりに欠けます。個人的には説得せずに、主人公シャンテレッドには聴覚を活かした攻撃でグランシャン艦長もろとも原子力潜水艦を撃沈して欲しかったです。 何故なら冒頭で天才的な聴覚を活かせず、世界滅亡の引き金となってしまった主人公シャンテレッドには、最後は天才的な聴覚を活かした決着の付け方で世界を救って欲しいと望んでいる自分がいるのです。 それなのに、最後は電話による説得ってのが兎に角、イヤ!盛り下がる!(力説) ラストの決着の付け方が不満過ぎて、主人公シャンテレッド自身が大きな代償を支払う羽目になる脱出シーンも微妙に感動出来ないんですよね。
総評
潜水艦による大規模な軍事アクションを期待すると拍子抜けしますが、軍事サスペンスドラマとして良い出来なので楽しめました。 政府の意向を無視し核攻撃に突き進む原子力潜水艦は荒唐無稽なのに、同時に「核戦争の最中にある軍の姿」はゾッとする位にリアリティも感じる不思議さがフランス映画っぽい?w 主人公シャンテレッドの活躍がイマイチな終盤が残念でしたね。 でもまぁ、耳をすませて世界滅亡のソナー音を聞く主演フランスソワ・シヴィルの緊迫感あるイケメンぶりに免じて評価は甘めにしてやりました(誰目線ww)
製作秘話
- 本作のPRの為、日本に初来日した際、主演フランソワ・シヴィルは日本の印象について「本当にウキウキするし全てが美しいよ。どこもスタイリッシュでまた来たい。今回は5日間しかいられないからね」と語っている
- 日本に初来日した際、監督アントナン・ボードリーと主演フランソワ・シヴィルは2人で文房具店を訪れ、気に入ったノートやペンを購入したとの事。
- 本作で潜水艦をテーマにした理由について監督アントナン・ボードリー曰く「シェイクスピア劇の様な生死をかけた物語を撮るには潜水艦の密閉された空間はドラマチックで最高だったから」と語っている
- 劇中で潜水艦の乗組員達が交わす台詞は実際の乗組員達が艦内で交わす言葉を取り入れている。また、劇中ではエキストラとして本物の潜水艦乗組員が参加している。
- 劇中で「狼の歌」と呼ばれるソナー音は敢えて本物のソナー音を使わず、映画用に制作した架空の音を使用している。監督アントナン・ボードリー曰く「実際のソナー音は映画的な魅力ある音ではないので、敢えてアーティステックなソナー音を制作して使用しているんだ」と語っている。
- 監督アントナン・ブレンダ曰く、ソナー音含め、映画の音作りとして多大な影響を受けている人物はジョージ・ルーカス監督との事。
- 主演フランソワ・シヴィルが本作への出演に至った経緯については本人曰く「脚本が素晴らしくて震える程、感動したから」との事。
- 潜水艦乗組員シャンテレッドを演じる上で主演フランソワ・シヴィルは実際の潜水艦の艦長に話を聞いたり、実際に「黄金の耳」と呼ばれている乗組員のチームに話を聞いたして役作りに臨んだとの事。
ウルフズ・コールのオススメ度は?面白いのか?
オススメ度 60点
個人的に超好き❗️
↓U-NEXTで「ウルフズ・コール」視聴可能です!
本ページの情報は2021年3月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
オススメ度とは?
0〜20点・・・サイテー激ヤバ作
30〜40点・・・何か個人的に嫌い
50〜60点・・・個人的に超好き
70〜80点・・・万人に勧める良作
90〜100点・・・最高な超傑作