こんにちは、ぽんぽです。普段から映画漁りをしていると劇場未公開作品ってヤツに出会いますよね。本作もそれです。ビデオスルーとなった不運な作品。邦題の「ロストマネー、、」に何となく惹かれ面白そうじゃんと思い鑑賞へ。では本作の見所や製作秘話含め紹介していきたいと思います。
「ロストマネー偽りの報酬が描くのは追い詰められた女達一世一代の大勝負」
作品情報
20018年製作 アメリカ ジャンル: ドラマ 監督 スティーブ・マックイーン 出演者 ビオラ・デイビス、ミシェル・ロドリゲス、エリザベス・デビッキ、シンシア・エリボ、コリン・ファレル、リーアム・ニーソン
あらすじ
舞台は現代のシカゴ、4人の強盗犯が強盗の失敗により死亡する。彼らが盗み出した金が黒人議員ジャマール・マニングの選挙資金だったため、彼らの妻であるヴェロニカ、リンダ、アリスが落とし前をつけるように脅迫される。ジャマールの弟のジャテームによりヴェロニカ達の友人に次々と被害が及ぶ中、ヴェロニカは亡くなった夫の残したメッセージからある計画を立てる。それは、ジャマールのライバル議員のジャック・マリガンから金を強奪することだった。(ウィキペディアより抜粋)
追い詰められた妻達の選択。それはゴリゴリの押し入り強盗
のっぴきならない事情のせいで死んだ夫達が計画した強盗計画を妻達が引き継ぐ、、、
なんちゅうヒネった設定や。そんな設定、、大好きや(笑)。エセ関西弁、すいません。
面白いのは、その強盗計画です。個人的に女性キャストを主演に添えた犯罪物って知的でスタイリッシュ、かつオシャレみたいなイメージあるんです。だから、これもそんな感じなのかと思いながら鑑賞したんですが、全然違うんです。強盗計画を実行する妻達はいわばド素人。計画の準備段階からして思い通りにいかない事が乱発、しかも入念な計画を立ててるっぽいんですが、それも雑ちゅうか大雑把。それもその筈。そもそも「強盗」するんです、この妻達は。頭数揃えて銃で武装して人ん家に押し入る、、、っていうゴリゴリの押し入り強盗。それって計画があってない様な気がするんです。バレずに盗む系のオーシャンシリーズみたいなスタイリッシュさやオシャレさとは無縁(笑)
抵抗する奴には銃突きつけてやれや、ザッツ、押し入り強盗、yeah!みたいな(笑)
そんな凶悪「ド」ストロングタイプの強盗計画。それを度胸だけで実行しようとする妻達、、、最高過ぎます。あと犯罪物って、計画を実行する過程の準備段階も楽しいじゃないですか。特に仲間を徐々に集めていく所とか。そこもしっかり踏まえててテンション爆上げ。強盗を決意する妻達の心理描写を丁寧に描いてて好感度大です。
「持たざる者」ゆえの弱さと厳しさを併せ持つ肝っ玉リーダー、ヴェロニカの魅力
「おっ、ワイルドスピードでお馴染みのミッシェル姉さん出てるじゃん」「おっ、ファレルが政治家役かぁ」「うーん、リーアムあんまし出てこないなぁ」とブチブチ言いながら楽しく観ていたんです。が、そんな中でビオラ・デイビス演ずるヴェロニカが何とも魅力的で、もう最高。強盗計画の準備にかかる女達に厳しい口調で指示を出していく肝っ玉リーダー、ヴェロニカ。言い方もキツイ。でも、不思議と嫌な感じがしないんです。
何故なら彼女の厳しいキツさは「持たざる者の必死さ」だからだと思うんです。
夫が死に生活の目処がつかない。ギャングからは多額の金を要求される。まともに働いて大金を稼ぐ能力すら彼女にはない。追い詰められ「自分には何もない」と吐露する彼女の悲痛さにむっちゃ心打たれるんですよ、ホント。
そんな「持たざる者」の弱さと必死さが根底にある彼女に対して、バシバシに共感してしまうんです。
あれ、まてよ、共感するって事は自分も彼女と同じ「持たざる者」なのだろうか?と考え、、しばらくストーリーそっちのけで落ち込みました、ワタシ。意外と繊細なんです、ワタシ(聞いてねぇよ)
とまぁ、気付いたらヴェロニカ率いる「持たざる者」集団の強盗計画成功を心から祈ってる自分がいました(笑)この一味、好き過ぎる。
ちょい役ながらもリーアム・ニーソンの演技が印象的
ちょい役で物語のキーマン、、大スターゆえのオイシイ役所ハリー演ずるはリーアム・ニーソン。ちょっとしか出てこないんですが、それでも演技の上手さはバシバシに感じます。ルックスは「96時間」等で見るいつものリーアムさん。
でも目が違うんですよ、なんか。目が違うんです(2回目)。
96時間とかのアクション映画で見せる優しさと逞しさを持つ目じゃないっちゅうか、、。え?気のせい?(笑)今回はスンゴイ自分本位で身勝手そうな目をしてるんですよ、マジで。ラスト、ヴェロニカと押し問答するシーンでも彼の目を見た瞬間、「あっ、コイツ駄目な奴だ」と観ていて察しがつく感じ。
駄目な目ェしとるんですわ、うん。えっ?気のせい?
イヤイヤ、絶対そうですって(思い込み激しい奴です、ハイ)
強盗するもヘマして死んだふり、おまけに妻を捨て最後はその妻に撃ち殺される。そんな駄目な男を、むっちゃ印象的に演じております、目で(しつこくてスイマセン)。
制作秘話
- 本作は製作に至るまでに7年程かかった。
- 本作の原作はリンダ・ラ・プラントのイギリスドラマ。監督は13歳の時にそのドラマを観て内容に強い共感を得る。その事が今回の映画化のきっかけ。
- シカゴを舞台にした理由は監督曰く「シカゴは人種や政治、宗教、警察、犯罪等、あらゆる問題を抱えるアメリカ社会の中心地だから」との事。
- ヴェロニカ役を演じたビオラ・デイビスについてはスティーブ監督曰く「史上最高の俳優の一人。マーロン・ブランドの様な貫禄がある」と絶賛。
- ミシェル・ロドリゲスはリンダの様な弱さを持つ女性を演じる事に最初は抵抗があった。しかし監督の生き生きとした視点の演技論に感銘を受け、リンダ役を引き受けたとの事。
- エリザベス・デビッキは強盗するシーンの撮影時とても緊張した。彼女曰く「ドキドキして吐きそうだった」との事。
- 本作の最も印象的なシーンはハリーとヴェロニカが一緒にベットで寝るシーン。リーアムの様な白人男性とビオラの様な黒人女性が夫婦としてベットに一緒に入るシーンはハリウッド映画でも珍しい。人種問題に高い関心を持つ監督の強い要望があり実現した。
総評
劇場未公開作品って面白くない事、多いと思うんですが、これは全然です。むっちゃ面白いです。劇場未公開の原因は主要キャストが日本でほぼ知名度が無いゆえ動員が期待出来ないって事なんだろうな、多分。
にしても良い映画でしたなぁ。まずは計画の準備や仲間集めなど犯罪モノ特有の鉄板ネタをしっかり見せてくれて大満足。そんでもってラストもバッチリ。強盗計画を経て女達が手に入れた大切な「モノ」を情緒たっぷりに描いてて、じんわりと心に沁みます。
「ええ映画観たやないかい(ナゾ関西弁)」と本作をチョイスした自分を何故か褒めたい気分になる良い掘り出し物でした。
ロストマネー偽りの報酬は面白いのか?オススメ度は?
オススメ度 70点
万人に勧める良作❗️
↓Amazonで字幕版、吹替版DLあります
↓DVD&Blu-rayセット
オススメ度とは?
0〜20点・・・サイテー激ヤバ作
30〜40点・・・何か個人的に嫌い
50〜60点・・・個人的に超好き
70〜80点・・・万人に勧める良作
90〜100点・・・最高な超傑作