こんにちは、ぽんぽです。「君の名は」から3年振り!遂に遂に新海誠監督作品の新作が公開されましたね〜。メディアは「天気の子」一色で、その煽りをモロ食らって自分もいそいそと劇場へ。分かりやすい行動する奴ですw。では本作の製作秘話含めた感想(ネタバレ)、紹介していきたいと思います。
目次
「天気の子 60点(感想ネタバレ)」
作品情報
2019年劇場公開 日本 ジャンル:アニメ 監督&原作&脚本 出演者 醍醐虎汰朗、森七菜、本田翼、吉柳咲良、梶祐貴、佐倉綾音、花澤香菜、野沢雅子、平泉成 他
あらすじ
離島から家出し、東京にやって来た高校生の帆高。生活はすぐに困窮し、孤独な日々の果てにようやく手に入れたのは、怪しげなオカルト雑誌のライターの仕事だった。そんな彼の今後を示唆するかのように、連日雨が振り続ける。ある日、帆高は都会の片隅で陽菜という少女に出会う。ある事情から小学生の弟と2人きりで暮らす彼女には、「祈る」ことで空を晴れにできる不思議な能力があり(映画comより抜粋)
目次
・天気をコンセプトにした新海誠の優れた先見性と超絶クオリティの背景美術!
・森七菜、醍醐虎汰朗、小栗旬らキャスト陣の声優っぷりは文句無し!
・マクドナルドにローソン!恋チュン!誰もが知る大衆文化が混在する楽しさ!
・銃で撃ち殺せない帆高のヌルい選択に見る新海誠の若者観のズレ!
・製作秘話
・天気の子のオススメ度は?面白いのか?
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天気をコンセプトにした新海誠の優れた先見性と超絶クオリティの背景美術!
タイトル「天気の子」から分かる様に天気がコンセプトの本作。世界観とストーリーは 異常気象により雨や曇りばかりの都会に天気を晴れにする女の子「陽菜」が現れた事で、その評判が各地に広がっていく って感じなんですが、これが非常に現代の日本社会と合致した内容で驚きます。 現実社会でも今や異常気象により台風はバンバン来るわ、土砂降りの雨で洪水は起こるわと映画とほぼ同じ事がリアルな日本社会でも起きているので本作の世界観には殆どの日本人が感情移入出来るかと。本作って製作期間は3年らしいので監督は3年前から日本の異常事象を予測して作品に落とし込んでるってのが凄い。そりゃ3.11もあったし自然現象に対する日本人特有の不信感や恐怖心を鑑みるに当然の事かもしれませんが、とはいえ天気をコンセプトにした大作アニメをこの時期に送り込んでくる新海誠の優れた先見性は見事としか言いようがないです。 やっぱ、新海誠監督みたいな優れたクリエイターはある種の未来予測が出来るのかもw。 そして新海アニメの魅力と言えば超絶クオリティの背景美術! 本作でもそれは健在で新宿や渋谷など東京の街並みは緻密で美しいです。更に雨や曇りゆえ何処か暗鬱とした新宿が見られるのが個人的にテンション上がります。自分もよく行く新宿の見知った場所が新海アニメで登場すると「ここ、よく行くなぁ〜」と思いながら鑑賞するのがホント楽しいw。 それと陽菜の祈りにより曇天の都会に陽が差し高層ビルに日光が反射していく様子も綺麗で、天候が晴れる事で人間の心も晴れやかな気分になる事を再認識させられます。 因みに自分は雨が大嫌いなので晴れ女の陽菜の事はマジで大好き!w。劇中、彼女の祈りで空が晴れていく様子に感嘆と安堵の声を上げる人々の姿に共感しまくりです。
森七菜、醍醐虎汰朗、小栗旬らキャスト陣の声優っぷりは文句無し!
大作アニメのカテゴリーに分類されるであろう本作。となるとアニオタとしての悩みの種は声優陣ですよね。この手の大作アニメはヒットが絶対条件だからこそ、少しでも作品を多くの人に観てもらう為に声優に有名芸能人を起用する事はよくある事でアニオタとしては「本業の声優使ってくれよ!」と思うのは毎度の事でして。 最初は 「森七菜?醍醐虎汰朗?どうせ大手芸能事務所ゴリ押しの新人で声の演技も下手くそだろ!しかも脇を固めるのが小栗旬って、、最悪だろ!」 と先入観MAXな状態で本作のキャスト陣を観ていたのですが意外!皆さん、めっちゃ良い声の演技しておるんです! 森七菜ちゃんの声は陽菜の聡明でお姉さんっぽい所が違和感無く出てるし、醍醐虎汰朗くんは声と演技に感情が載ってて胸アツ。 そして何より驚いたのは須賀役の小栗旬さんの声の良さ! 小栗旬さんってイケメン俳優の印象しかなくて声の演技が出来る様な繊細な俳優って印象が無かったんです。しかしながら、本作では須賀圭介って言うオッさんの声を見事に演じていて正直、本職の声優と比較しても違和感無い位のくたびれたオッさんっぷりw。スター俳優である小栗旬の高い演技力は声の演技でも如実に感じられて感心してしまいました。 ただねぇ小栗旬さんの板についた声優っぷりに「有名俳優を声優に起用したアニメも意外と良いもんだな」と思っていたら本田翼がぶち壊してくれますな、色々とww。 夏美役の本田翼の声に感情が載ってない為、棒読みになりメインキャストの中でも際立つ下手さ。 夏美の声を聴くだけで、アフレコ現場で悪戦苦闘してる本田翼の姿が浮かんじゃって萎える(失礼w)。この点は声優を使わず有名芸能人を起用する大作アニメの悪い部分がチョロっと出ちゃってますな。 って言うか本田翼の起用は明らかに芸能事務所のゴリ押しによるキャスティングなのは結構明白な気がするんですよね。 だってアニメ声優として本田翼にオファーする奴とか普通に考えていないだろ!って事ですよ(怒)。 「大ヒット確実の新海アニメにはウチの本田翼を使って下さいな。ゲヘヘ」って感じの芸能事務所のクソみたいな営業が実ってしまった事が何か不愉快(独断と偏見w) 個人的には本田翼の演技の下手さにイラッとしつつも全体的には森七菜、醍醐虎汰朗、小栗旬らキャスト陣の声優っぷりは文句無し!でございます。
マクドナルドにローソン!恋チュン!誰もが知る大衆文化が混在する楽しさ!
劇中で帆高や陽菜達が食べるジャンクフードは日本人ならよく知る食べ物ばかり。 新宿で路頭に迷った帆高がマクドナルドのハンバーガーを食べる場面では「帆高が食べてるのはビッグマックかな?グラン系じゃなさそうだし」と要らぬ分析をしたり、ラブホテルで食べるローソンのからあげクンは余りにも商品名がデカデカと出てくるので、あからさまな企業コラボ感が出ていたりと穿った見方をするのも楽しんんですよね。それとカラオケではAKB48「恋するフォーチュンクッキー」を帆高達が歌っていて親近感湧いたりw。 ハンバーガーやからあげクン、恋チュン、これ全て日本の大衆文化の塊とも言える訳で、それを劇中にガッツリ登場させ混在する事で作品がより時代性を帯びるのが楽しくて。10年後に本作を観ても「からあげクンや恋チュン懐かしいなぁ」と盛り上がれそうです。
銃で撃ち殺せない帆高のヌルい選択に見る新海誠の若者観のズレ!
本作で1番、賛否両論を招きそうなのが陽菜を守る為に帆高がとる行動の数々です。 特に帆高が銃を撃つシーンなんですが、その時の帆高のヌルい選択と決断にゲンナリしてしまうのです。 帆高が新宿で偶然、銃を見つける時点で安直過ぎて「何それ」って感じがするのですが、陽菜を守る為に帆高がチンピラに向けて発砲する場面が超不満でして。 何て言うか発砲した銃弾はチンピラを掠めるだけで死なないんですよね。他にも陽菜を取り戻した事と引き換えに異常気象が東京を襲い洪水騒ぎになる所でも人々は困るだけで大勢が死ぬ訳では無い。全てが何だかヌルいのです。陽菜って言う大切な女の子を守る為なら銃でチンピラを撃ち殺して欲しかったし、異常気象で世界がどうなろうがどうでも良いから陽菜を救いたいと言う帆高の選択と決断のツケとして、やっぱり東京都民は洪水で死んだ方が良かったと思うのです。 16歳の男の子の向こう見ずな選択と決断にはデカい代償が伴う方がより帆高と陽菜の関係性に強烈なロマンが生まれるのに。 そもそも劇中の帆高のヌルい選択と決断に納得出来ないのは、リアルで日本社会に向き合ってる10代若者の感覚と少しズレてるからなんですよね。政治、経済含め日本社会の閉塞感をめちゃくちゃ感じてるリアル10代は「銃ぶっ放して大人達をぶっ殺さなきゃ変わんないじゃん!」位、思ってる気がするんです。単に表に出てないだけで。だからこそ銃でチンピラを撃ち殺さなかった帆高の「陽菜を守りたい」「世界を変えたい」思いの本気度に疑問を持ってしまう事態に。 この銃で人を撃ち殺せない帆高のヌルい選択は新海誠の若者観のズレが大きく関係してる気がするんです。端的に言って新海誠監督は20歳以上離れてる帆高みたいな10代の若者の気持ちが分かってないんですよね。世に認められ成功したアニメ監督が現代の若者の無力感や絶望感を上辺だけなぞってるだけで本気の感情移入してない気が。。もし本当に帆高に感情移入してるなら銃でチンピラ撃ち殺すでしょうし、東京都民が洪水で死んでも自分の選択は正しかったと思ってる帆高を描くでしょうし。 結果、帆高が行き着く答えは 「自分の選択で実際に世界は変わらなかったかもしれないけど少なくとも自分の心の中では世界は変わったんだ」 と言う一種の思い込みへ。 これを新海誠風のポジティブさで表現するなら「自分を信じる事が大事」って事を伝えたいんだろうけど、それは稀代のクリエイター新海誠にしては普通過ぎるメッセージな気がするんです。大作アニメゆえにファミリー層に向けたポジティブで良い子ちゃんなメッセージを送らねばならないのは多少分かりますが、普通過ぎです。 そんな普通過ぎる答えを自身の中に見出した帆高が陽菜と再会するシーンは拍子抜けで不満。 しかしねぇ、良くも悪くもそこは帆高役の醍醐虎汰朗くんの熱の籠った演技とラッド(RADWIMPS)の曲で無理矢理盛り上げて感動に持っていく力技が炸裂しているラストとなっとります。 新海アニメってこれからも、イマイチな部分をラッド(RADWIMPS)の曲で何とか誤魔化す感じの作風で行くんですかね?(失礼w)。 最後の最後で嫌らしいヒットの法則をあてがった狙いまくりのラストにちょいゲンナリしてしまいました。
総評
銃で人を撃ち殺せない帆高のヌルさを見て新海誠監督の若者観のズレを大きく感じて残念でした。 世の中に認められた新海誠は正に成功者で大人そのもので、もう若者の気持ちは分からないんだなぁと。 そんでもって残念な部分をラッド(RADWIMPS)の曲で無理矢理、感動的にして誤魔化す感じも目に付きますな。 でもまぁ、アニメーションは綺麗だし声優キャスト陣の演技は総じて良いです。アニオタとしては、高水準のアニメを拝めたので満足しております。 何かアニメって内容イマイチでも映像が綺麗だとそれだけで「良いモノ観た」感じがしますねww。
製作秘話
- 帆高役の醍醐虎汰朗は以前からRADWIMPSの大ファンだった事もあり前作「君の名は」は3回観に行った程に大好きとの事。
- 陽菜役に森七菜は役作りについては「可愛らしさやお姉さんらしさを意識しました」と語っている。因みに自身の性格については「気まぐれな性格で天気みたいかも」との事。
- 本作の天気というコンセプトについて新海誠監督は「地球のどこにでも必ず存在していて誰もが100%予想できないもの」、「観る誰もが自らの話だと思えるもの」と語っている。
- 須賀圭介役の小栗旬が初めて観た新海誠作品は「言の葉庭」。
- 製作途中のVコンテではキャラクターの声を新海誠監督自身が充てる事が多い。小栗旬曰く「Vコンテを拝見した時に素敵な声の方がいるんだなと思ったら、まさかの監督ご自身の声で驚きました。」と語っている。
- 前作「君の名は」同様に本作で音楽を担当するのがRADWIMPS。ヴォーカル野田洋次郎曰く「前作では曲に対しての新海監督のダメ出しが多くて、思わずメールでのやり取りを拒否する程だったんですが、今回は最後までやり遂げる事が出来ました」と冗談混じりに語っている。
- 主題歌「グランドエスケープ」の歌手に三浦透子を起用した理由についてRADWIMPS野田洋次郎は「最初から劇中歌に女性ヴォーカルを入れたいと思っていて、新海監督も同じ気持ちだった事もあり実現しました」と語っている。
- 帆高役に俳優の醍醐虎汰朗を起用した理由について新海誠監督曰く「声や姿や立ち居振る舞いが帆高にとても似ていて直感で彼に決めました。」との事。
- 陽菜役に森七菜を起用した理由について新海誠監督曰く「彼女は声と芝居が抜群に良かったのですが、時折、演技が不安定に感じる事もあり迷いました。でもその不安定さが天気そのものだなと思い彼女に決めました」との事。
天気の子のオススメ度は?面白いのか?
オススメ度 60点
個人的に超好き❗️
オススメ度とは?
0〜20点・・・サイテー激ヤバ作
30〜40点・・・何か個人的に嫌い
50〜60点・・・個人的に超好き
70〜80点・・・万人に勧める良作
90〜100点・・・最高な超傑作