こんにちは、ぽんぽです。拝啓、お元気でしょうか。最近、あなたの出演作品をはたと観なくなり、ご心配申し上げてます、、、状態ケビン・コスナー(笑)たまには彼の映画でも観るか的ノリでマイナー作品に手を出してみました。ではでは本作の見所や製作秘話含め紹介していきたいと思います。
「MS.ブルックス 完璧なる殺人鬼は上質なサイコサスペンスではあるが終盤の消化不良気味な展開がマイナス」
作品情報
2008年製作 アメリカ
ジャンル: サスペンス
監督&脚本 ブルース・A・エバンス
出演者 ケビン・コスナー、デミ・ムーア、ウィリアム・ハート、レイコ・エイルスワース
あらすじ
家族思いの大物実業家と残忍な連続殺人鬼という2つの顔を持つアール・ブルックス。2年ぶりに殺人を犯した彼だったが、その一部始終が犯行現場の向かいのアパートに住む青年に撮影されてしまっていた。さらに女性刑事アトウッドの捜査の手もブルックスに迫っており……。(映画comより抜粋)
成功者であり良き父のブルックス、その内に秘めるもう1人の自分「マーシャル」が駆り立てる殺人の欲求
成功者であり良き父のブルックス、、そんなブルックスの近くに常にいる黒服のおっさんが冒頭から登場。この黒服おっさん、、ブルックスとの距離近いな、誰だ、こいつ、、と思ってたら、何と実在しないブルックスの内に秘めたもう1人の自分である「マーシャル」だったっていう展開。
「おっ、こりゃ、もう1人の自分と葛藤しまくるサイコサスペンス風ですな、うむ、好きなヤツだ、これ」とホクホク。
このマーシャルさん、フレンドリーな口調でブルックスを殺人へと駆り立てる困った奴(笑)そんなマーシャルの悪魔の囁きに冷静に抗うブルックスの様子が面白いんです。「いや、もう人は殺さない」みたいな感じで理性的に静かな口調で誘惑に抗うブルックスなんですけど、、、結局、獲物を物色しちゃうし殺しちゃうし(笑)
「ブルックスさん、あ、あんた、全然自分を抑えられてへんやん」と1人ツッコミ(笑)
殺人を欲求と捉えて、、一種の依存症っぽく描いてるのがちょい新鮮なんですよね、本作は。理性的で如何にも成功者っぽいブルックス、、中身はヤバイ奴、、、このキャラがバッチリ、ケビン・コスナーはんにハマっとります。
驚異的な検挙率を誇る敏腕捜査官アトウットの逞しさ
殺人鬼ブルックスを追う捜査官アトウットは全身からデキる女的バイタリティが溢れております。そんなデキる女も劇中では苦労しとります。犯罪者を逮捕しまっくっているせいで出所してきた犯罪者共に命を狙われるわ、元旦那からは離婚を機に金をせびられるわ、と散々な目に。
そんな中でも殺人鬼ブルックスを追う彼女は逞しさ抜群。演じるのがデミ・ムーアな事もあり意外とアクションもイケるんです、アトウットさん。車中やアパートでは命を狙ってくる犯罪者と殴り合うし撃ち合うし。
やっぱ、デキる女は戦闘力も高い(笑)
彼女の逞しさを見てると、この人なら「完璧なる殺人鬼」ブルックスとも良い勝負してくれるんだろうなと鑑賞中もワクワクしっぱなしです。
周到な計画で行われる殺人に放浪される周囲の人間模様が秀逸。しかしオチを含む終盤の消化不良な展開が残念
2年振りに犯した殺人を機に動き始めるブルックスの周囲の人間模様が秀逸で、まぁ面白いんです。ブルックスの殺人を目撃した為それをネタに脅してくる奴、捜査官としてブルックスを追う奴等、どいつもみんなブルックスの立場を危うくする奴らばかり。
それを冷静に狡猾にいなしていく展開はかなり出来の良いサスペンスとなっとります。
それにブルックスの愛娘ジェーンの存在が良いんです。たまたまブルックスの殺人欲求を受け継いでしまったかの如くジェーンも殺人を犯してしまう展開が捻りが効いとります。それが原因で娘のジェーンを通じて捜査官の手がブルックスにまで延びてくる所とか斬新、斬新、むっちゃ斬新。
ただなぁ、この斬新な人間模様が残念な事に終盤にいくにつれ、収集がつかなくなっていくんです。例えばブルックスの策略にハマり殺人容疑をかけられる事になる捜査官アドック。彼女、容疑をかけられて大変な筈なのに特にそこの大変な場面が描かれずいつの間にやら、その容疑がちょい晴れてるっぽい感じになってるんです。いや、そこ1番盛り上がるとこ!そこ描かないんかい!とか。殺人を犯してしまった愛娘ジェーンを助ける為に事件を偽装する所、、イヤイヤ、そこあっさり過ぎませんか扱いが。ってな感じ。サスペンスって事の顛末を描くのが結構大事じゃないですか。本作はそこがイマイチで。
「捜査官アドックは?」「愛娘ジェーンは?」「ブルックスの心の中にいるもう1人の自分、マーシャルは?」
みんなどうなったかの顛末が曖昧過ぎて、消化不良過ぎて、もう気分萎え萎え。そんでもって最後はオチですよ。オチ。まさかの夢オチ。実は今までの事は全部ブルックスの想像?欲求?夢?みたいな物でした、チャンチャン。
おーわり、、、って、イヤイヤ、この展開はマジで冷めますわ。
製作秘話
- 監督&脚本を務めたブルース・A・エバンスは過去に「スタンドバイミー」や「ジャングルブック2」を製作した経歴から子供向け娯楽作が得意だと映画業界から思われていた。自身のその印象を覆し「自分は大人向け作品作れる脚本家なんだ」と周囲に示す為に本作の製作に取り掛かった。
- 脚本を読んだケビン・コスナーはその素晴らしい出来に「完璧な脚本は(自分のキャリアで)過去に4本。これはその内の一本だ」と絶賛。
- 元々、ケビン主演を想定して脚本は執筆されていた。その甲斐あってケビンの主演が決定した時、ブルース監督は嬉しさからか「その日は仕事をやめて街に出てステーキとワインで乾杯した」との事。
- 自身も俳優兼監督として活動するケビン・コスナーはブルース監督に「脚本を信じて撮れ」と何度も助言しブルース監督を支えた。
- ケビン・コスナー曰く「作品の知的レベルは脚本家のレベルで決まる」との事。
- 劇中の舞台はオレゴン州の設定だが実際、撮影した場所はルイジアナ州。理由はルイジアナ州の方がロケ地として使える場所が多かった為。
総評
ケビン・コスナーの完璧なる殺人鬼っぷりもデミ・ムーアの凄腕捜査官っぷりも良い感じで、「この作品、良作サスペンスですよ」って雰囲気を醸し出してたんです。
ただなぁ、うーん、なんちゅうか、、サスペンス物の中でもサイコサスペンス物って結構、最後が微妙な作品って多いと思うんですけど、本作もそれ。殺人鬼ブルックスの行動によって思わぬ展開を迎えて行く周囲の人間模様はむっちゃ面白いんです。それなのに、その周囲の魅力ある人物達が「結局、どうなったの?」という所がとっ散らかって、あまり描かれてないっていう残念さが悲しい。
それとオチが、、イマイチなんですよね。個人的にサスペンスに限らず映画は事の顛末をしっかり描いてる作品が好きなので。
本作の様な、「その後どうなったかは察して下さい」的な感じは、なんか合わんのです。
MS.ブルックス 完璧なる殺人鬼は面白いのか?オススメ度は?一言でいうと?
オススメ度 60点
個人的に超好き❗️
オススメ度とは?
0〜20点・・・サイテー激ヤバ作
30〜40点・・・何か個人的に嫌い
50〜60点・・・個人的に超好き
70〜80点・・・万人に勧める良作
90〜100点・・・最高な超傑作