こんにちは、ぽんぽです。久々にアニメ映画の情報ゲット。湯浅政明作品の新作でーす。実は「マインドゲーム」や「夜は短し歩けよ乙女」を観て以降、少し苦手なアニメ監督なんですよね、この人。湯浅作品に見られる鮮やかでサイケデリックなアニメーションは大好きなんですが、物語の展開やセリフ回しがカオスな所が個人的にはイマイチで。でも、やっぱりこの天才アニメ監督の新作となれば観ねば!との映画好きの使命感が謎に湧いてくる訳でして(笑)という事で鑑賞してきました。では本作の製作秘話含めた感想(ネタバレ)、紹介していきたいと思います。
目次
「夜明け告げるルーのうた 60点(感想ネタバレ)」
作品情報
2017年日本劇場公開 日本 ジャンル: アニメ 監督 湯浅政明 脚本 前田玲子、湯浅政明 出演者 谷花音、下田翔大、寿美菜子、斉藤壮馬
あらすじ
寂れた漁港・日無町で、父親や祖父と3人で暮らす男子中学生カイは鬱屈した日々を送っていた。そんなある日、クラスメイトの国男と遊歩に誘われて人魚島を訪れたカイは、人魚の少女ルーと出会う。(映画comより抜粋)
人魚ルーの可愛さと斬新な人魚の生態!
【人魚ルーの可愛さと斬新な人魚の生態】
16歳の少年カイと音楽が大好きな人魚ルー。好奇心いっぱいの無邪気さで少年カイと遊ぼうとするルーの仕草がまぁ、ホント可愛いったらないです。可愛くて元気なルーをよく動く作画でしっかり描いてくれます。更に面白いのは人魚の設定です。人魚に噛まれたら人も犬もみんな人魚になる、人魚は音楽が好きで日光が苦手など、結構斬新な人魚設定が楽しいんですよね。特に人魚に噛まれた犬が変化し尾びれをつけながら海を泳いでいる姿。何とも珍妙で「これぞ、湯浅アニメ」と勝手に納得してしまう斬新さ、グッジョブですwww。
独特のアニメーションで表現される「水」の視覚的楽しさ!
【独特のアニメーションで表現される「水」の視覚的楽しさ】
人魚が登場する本作では海を始めとして「水」を描いている場面がとても多いです。このアニメーションで表現される「水」が最高に良いんです!人魚ルーは海の水を自由自在に操れるので、四角になったり円形になったり伸びたり縮んだり。その如何様にも変化する水のアニメーション表現が多様で視覚的にも観ていてまぁ、楽しい楽しい。湯浅作品独特の「水」をたっぷり堪能出来ます。
カイの熱唱と共に悲しみから解放される島民の姿に感動!
【カイの熱唱と共に悲しみから解放されていく島民の姿に感動】 実を言うと個人的に不満だったのは少年カイの性格です。カイ君、やりたい事が無く毎日がつまらない今時の子な設定。これが、いかんせん感情の起伏がなさ過ぎて感情移入しづらい問題があるんですよね。人魚を恐れる島民がルーをとっ捕まえてしまった時も、中々助けにいかないカイ君にヤキモキ(笑)「何を考えてるんじゃい!少年カイよ、ルーを助けにいかんかい!」と喝を入れたくなる、ヤキモキ感です。 でもまぁ、その後の展開が素晴らしいので全く問題無し!島に迫る大波から島民を助ける為に奮闘する人魚ルー達。その人魚ルー達を元気付ける為に、少年カイは1人、迫り来る大波を前に魂の熱唱をするんです!感情の起伏に乏しいカイ君のルーに対する思いが爆発する瞬間!ここ、むっちゃ盛り上がります。彼が歌う「歌うたいのバラッド」が、、まぁ、ほんと、最高の神曲に! そんなカイ君の歌に元気付けられたルー達、人魚軍団はバシバシと島民を救出していく訳で。人魚を迫害してきた島民を人魚らが救うって、、何て優しい展開じゃい(笑)。人魚達が島民を救出する最中、島民らの人魚に対しての恨みや偏見が解けていき、悲しみから解放されていく姿も、まぁ泣けます。そんでもって、そこに神曲「歌うたいのバラッド」が畳み掛ける様に流れるんですから、、まぁ泣けます泣けます(2回目www)
ポニョのパクリ?湯浅監督が模索するファミリーアニメの形
【ポニョのパクリ?湯浅監督が模索するファミリーアニメの形】 実を言いますと本作、巷では「崖の上のポニョ」に似てるのでは?もしかしてパクリ?と言われてしまう事が多いようです。正直、自分も、「これポニョっぽいな」と思う所がチョイチョイありました。でも、本作をパクリ扱いするのは余りにも乱暴な評価かと思うんですよね。 湯浅監督自身、本作を子供から大人まで幅広い層に観て欲しいと語っていて、子供が好むように人魚ルーの設定もだいぶ当初より可愛くしたらしいのです。要するに製作段階で無茶苦茶、子供向けを意識している訳なんですよね。そんな子供向けを意識したアニメとなるとそれはおのずと設定やストーリー展開も似通ってきますよね。だって子供に受けるアニメのプロットなんて、そんなに多くないですし。特に少年の成長物語がメインとなるなら尚更です。ジブリに限らず、ピクサー他、ポケモンとか、ありとあらゆる子供向けもしくはファミリー向けアニメには結構共通するストーリー展開やキャラ設定が沢山あるはず。ポニョとソースケ、ピカチュウとサトシ、、そしてカイとルーなど。似てしまうのは避けられない事ですよね。 特にオリジナルアニメだと興行的にコケる訳にもいかない訳で、、、そうなるとヒットの法則を踏まえウケる鉄板のプロットと取り入れるのは当然ですし。 そして何よりも大切なのは、結局ポニョと似た様な設定の、本作「夜明け告げるルーのうた」が面白いのどうかが大切なんですよね。、、、、ハッキリ言って面白いですし素晴らしいですよ、うん。似た設定は確かに見られるけど決してポニョの劣化版とは言えない気合の入ったアニメ作品で単純に良作です。 正直、「マインドゲーム」や「夜は短し歩けよ乙女」より本作の方が好きです。自分の様に湯浅アニメ特有のカオス展開が苦手な人にとって本作は湯浅アニメ入門作品として、むっちゃオススメです。兎に角キャラ設定、物語が分かりやすいwww。 「ジブリやピクサーがファミリーアニメをガンガン世に送り出してくる今、それ以外で自分の作風を守りながらファミリー向け、子供向けのオリジナルアニメを作るにはどうしたら良いか?」 といった湯浅政明監督の葛藤と模索を感じつつも、オリジナリティある良作ファミリーアニメとして充分楽しめました。
製作秘話
- 湯浅監督は本作について「制作の段階では最初ヴァンパイアを題材にしたアニメ作品になる予定だったが打ち合わせ時に別の案が出た事から、音楽を題材にしたアニメ作品に変更した」と語っている
- 主要な登場人物達を16歳にした理由として湯浅監督は「16歳位の子達が多分、1番劇場アニメを観てくれる年齢層だと思ったから」と語っている
- 湯浅監督曰く子供達にも本作を見てもらう為にルーは可愛いキャラクターになる様、意識したとの事。
- 終盤、カイが歌うたいのバラッドを歌う案を制作陣から提案された時、湯浅監督は「ラストを歌で締めくくるのではマクロスと同じになってしまう」との理由で反対していたが最終的には思い直し制作陣の案を採用した。
- 本作では水をアニメーションで表現する場面が多数ある事について湯浅監督は「以前から水をアニメーションで表現する事に興味があった。水の持つ如何様にでも変化していく印象が面白い。本作のアニメーションでは水自体もキャラクターとして描いている」と語っている
- 本作ではフラッシュアニメーションが多用されている。その事について湯浅監督曰く「フラッシュアニメーションは線が綺麗に見える上、細かい動きを加えても線が乱れないのが気に入っている」と語っている。
- 「歌うたいのバラッド」は湯浅監督が昔から好きだった曲。しかし本作に取り入れると決定したのは制作過程のかなり後の方だったとの事。湯浅監督曰く「そもそも、この曲を劇中で使えるのがどうか心配だった」と語っている。
夜明け告げるルーのうたのオススメ度は?一言でいうと?
オススメ度 60点
個人的に超好き❗️
オススメ度とは?
0〜20点・・・サイテー激ヤバ作
30〜40点・・・何か個人的に嫌い
50〜60点・・・個人的に超好き
70〜80点・・・万人に勧める良作
90〜100点・・・最高な超傑作