こんにちは、ぽんぽです。ハリウッドの社会派ドラマ映画って楽しいですよね(唐突)。アメリカの隠されたもう一つの、お国柄って奴を垣間見れる楽しさっていいますか。日本にいると中々お目にかかれないアメリカのダークサイドを知るのに良い作品はないかなぁ、そういう映画観たい気分だゾイ。という事で本作の鑑賞に至りました。ではでは本作の見所や製作秘話含め紹介していきたいと思います。
「ある少年の告白が示す答え!未成年のLGBTQにとって心の支えは家族」
作品情報
2018年製作 アメリカ ジャンル: ドラマ 監督 ジョエル・エドガートン 出演者 ルーカス・ヘッジズ、ニコール・キッドマン、ラッセル・クロウ、ジョエル・エドガートン
あらすじ
アメリカの田舎町で暮らす大学生のジャレッドは、ある出来事をきっかけに、自分は男性のことが好きだと気づく。両親は息子の同性愛を「治す」という転向療法への参加を勧めるが、ジャレッドがそこで目にした口外禁止のプログラム内容は驚くべきものだった。(映画comより抜粋)
差別と迫害はびこるLGBTQの矯正治療施設の闇
LGBTQ(同性愛者など)が過ごすラブ・イン・アクションなる洒落た名前の施設、、そこの施設長サイクス先生もビジネスマン風のちゃんとした大人。最初は「へぇ〜流石はアメリカ。こういうLGBTQを支援する施設もあるのか、日本と違って進んでんなぁ」位に思ってたんです。ただし、このラブ・イン・アクションが、まぁ激ヤバ施設なんですよ。ホワイトボードを用いた授業風のディスカッションでブチかまされる討論は、トンデモ討論連発。
LGBTQの若者達に対して「君達は罪人だ。壊れている。まともになれ」とのたまうサイクス先生に度肝を抜かれます。
LGBTQの存在を全否定する、最悪のディスカッションが繰り広げられる様子は観てて、マジで口アングリ状態(笑)
アメリカ社会は宗教的な価値観が原因でLGBTQの存在が度々議論になる国なのは予備知識としては知っていたけど、ここまでとは。矯正施設って、要するにLGBTQは病気だから治してやるって施設なんだと理解。差別と迫害の塊のトンデモ施設じゃんマジで。しかも、これ、実話。ハリウッドの社会派映画を観ると度々、知られざるアメリカの姿を垣間見る事ってありますよね。日本人にとっては、そんな「知られざるアメリカ」を楽しめるのがハリウッド映画の魅力でもあるんですが。
いやぁ、久々に度肝を抜かされる「知られざるアメリカ」を見ましたわ、ホント。
自己肯定出来ず孤立する未成年のLGBTQ
LGBTQ矯正施設のヤバさに気付くジャレッド。でも中々そこから逃げれない。
観てて自分も「ん?いや、こんなヤバイ施設とっとと出て家に帰ればいいじゃん。何しとんねん、ジャレッド」
と疑問に思ったんですけど、イヤイヤ、そこにまぁまぁ難しい問題がある事に気付くんですよね、これが。
矯正施設に入れたのは、そもそもジャレッドの両親。自分の親から「この家には置いとけない」と言われ施設に入った以上、家にも中々帰れない。家にも帰れないし、そうなるとこの激ヤバ矯正施設に暫くいる事になってしまう。こんな状況下に置かれたジャレッドの孤独さたるや、もう。ジャレッドの様な未成年のLGBTQは家族から拒まれたら、こんな感じでアメリカ社会で孤立していくんだという、怖さ。自己肯定されないまま孤立していくって、悲し過ぎますよ、マジで。劇中でも家族から拒まれ自己肯定も出来ず自ら命を絶つLGBTQの若者が描かれているんですけど、やるせない気持ちMAXです。LGBTQに対しての無理解の怖さがガッツリ詰まった作品です。
LGBTQの子を持つイーモンズ一家が示す家族のカタチ
ジャレッドの両親は、ええ、もう、ジャレッド君を激ヤバ矯正施設に入れた張本人達です、ハイ。正直、最初は、「LGBTQってだけで施設に入れるなんて、なんちゅう親じゃ、こいつらは」と思っていたんですが、そんな気持ちも物語を追っていく内に少し変化してきました。まずは母の方です。LGBTQには多少の偏見を持ちつつ施設に入れた母。まぁまぁ非道い母です。
しかしジャレッドの必死に助けを求める声を聞くやいなや、速攻で矯正施設からジャレッドを助け出す行動力。母、強し。
施設長のサイクス先生に「このペテン師」と物凄い剣幕で言い放つ母、強し。演ずるニコール・キッドマン、、強し(しつこい)。
そんでもって、お次は父の方です。ジャレッドを矯正施設に入れた張本人でございます、この人。そんな父親側の心境も段々と明らかになっていくんです。牧師ゆえ、自身の宗教的価値観ゆえにLGBTQの息子と向き合えない父親。ジャレッドに対して「(LGBTQだから)お前の孫を見れない事が父親として悔しくて堪らない」と本音を吐き出す姿。ラッセル・クロウの熱演も相まって、何とも言えない複雑な気持ちを抱かせるんですよ、この父親。
「もしも自分の愛する息子がLGBTQだったら」という予期せぬ事態に苦悩する父親、、胸が苦しくなりますな、なんか。
息子への無償の愛でLGBTQへの偏見すら乗り越えちゃう母、自身の価値観の中で苦悩する父、そんでもってLGBTQである自分を肯定出来る場所を探すジャレッド。行く末が心配になるイーモンズ一家が示す家族のカタチ、、その答えとは、、それは「愛する息子ジャレッドを失いたくない。だからもう息子がLGBTQとかどうでもいいじゃん。ジャレッドが1番大事」という、、、。いや、もう最高の家族のカタチであり答えなんですよ。これ、最高です、ホント。シンプルかつ泣ける。終盤の家族関係が修復していく様子には、観てて心が救われましたわ。
「LGBTQの子は家族が支えてやらんかい」
という、どストレートなメッセージを示す本作とイーモンズ一家、、素敵です(笑)
製作秘話
- ジョエル監督は原作を読んだ時点で既にルーカス・ヘッジズの起用を考えていた。主演をルーカスに起用する旨を原作者ラード・コンリーに伝えた所、ラードも大賛成の末、ルーカス起用に至った。
- ルーカス・ヘッジズは主演を演じるに至った経緯について「ジャレッドの考えにはとても共感できた。これほど内面に没入出来る役なら演じなければと思った」と語っている。
- 原作者のラード・コンリーは本作の父親マーシャル役ラッセル・クロウの演技について「とても奇妙な体験だった。見た目はラッセルなのに本当に(原作者である)自分の父親そっくりに見えた」と絶賛。
- 主演ルーカス・ヘッジズは共演したニコール・キッドマンについて「撮影現場での彼女は安心感と明るさに満ちているんだ。それでいながらカメラが回った途端、別世界に入った様に変わる。素晴らしい役者だよ」と語っている。
- ジョエル・エドガートン監督は本作で施設長サイクス役として出演している。
- ジョエル・エドガートン監督が「君の話を映画化し、同性愛者の矯正治療問題を根絶したい」と原作者ラード・コンリーに伝えた事がきっかけで今回の映画化に至ったとの事。
総評
「LGBTQは病だから治療する」という激ヤバ思想、、まぁでも、こういうヤバイ考えがある事も含めて多様性が在るって事なんだろうな、アメリカ社会って。それが良いか悪いかは分からないんですけどね。
久々に「知られざるアメリカ」を堪能出来る社会派映画に出会えました。面白かったです〜。
それとニコール・キッドマンの演技、久々に観たなぁ。あとラッセル・クロウは役作りも兼ねてだと思うけど、めっちゃ太ってたな、今回の役。
ある少年の告白は面白いのか?オススメ度は?
オススメ度 70点
万人に勧める良作❗️
↓U-NEXTで「ある少年の告白」視聴可能です
本ページの情報は2021年8月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
オススメ度とは?
0〜20点・・・サイテー激ヤバ作
30〜40点・・・何か個人的に嫌い
50〜60点・・・個人的に超好き
70〜80点・・・万人に勧める良作
90〜100点・・・最高な超傑作