悪党をミンチにして処刑する映画エクスタミネーターの期待外れなバイオレンスとラストがつまらない!

こんにちは、ぽんぽです。ここ数ヶ月は何故か、映画を観る熱が冷めていまして。余程の大作じゃ無い限り劇場に行かない日々。こんな時はボケェ〜と家で古い昔の映画でも観ようかなと思い、先ずは80年代のバイオレンス映画「ニューヨーク1997」を鑑賞した所、結構どストライクな好みで「80年代のバイオレンス映画って結構良いじゃん」と思い直し、他にも良さげな80年代バイオレンス映画を探していたら本作の存在にぶち当たりまして。何かしら運命的なモノを感じ鑑賞へw。では本作の製作秘話含めた感想(ネタバレ)、紹介していきたいと思います。

「エクスタミネーター 50点(感想ネタバレ)」

エクスタミネーター

作品情報

1980年劇場公開 アメリカ
ジャンル:バイオレンスアクション
監督&脚本 ジェームズ・グリッケンハウス
製作 マーク・バンツマン
出演者 ロバート・ギンティ、クリストファー・ジョージ、サマンサ・エッガー、スティーヴ・ジェームズ、トニー・ディベネット、ディック・ボッチェリ

あらすじ

ベトナム戦争帰りの若者ジョンが、生命の恩人である親友を街のチンピラに襲われた後、復讐の鬼エクスタミネーターと化し、街のダニどもを抹殺していく(映画comより抜粋)

目次
・エクスタミネーターの意味とは?
・唐突な復讐劇!主人公ジョンの心理描写が雑!
・首切り、ミンチ、焼殺、水銀入り銃弾!どの殺し方もゴア描写抑え目でガッカリ!
・アメリカに対する不信感を内包するラストは尻切れトンボ気味!
・総評
・製作秘話
・エクスタミネーターのオススメ度は?面白いのか?

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エクスタミネーターの意味とは?

最初からどうでもいい話になってしまいますが本作のタイトルって一瞬、シュワちゃん映画「ターミネーター」を文字った、ダジャレ風の造語かなと思っていたのですが、意外とちゃんとした英語なんですよね。意味は「害虫駆除業者」との事。うーむ、物騒ですな、これはw。要するに悪者は害虫と同じで駆除(処刑)せねばって事ですね、うむ、怖いゾ!そして好きだゾ!そのネーミングセンス(笑)!エクスタミネーター、何てキャッチーな言葉なんだと地味に感動しております、自分(バカw)。うむ、いつか自分も名乗ってみたい衝動に駆られるヒーローっぽい名前で好きです(誰も聞いてないw)。

唐突な復讐劇!主人公ジョンの心理描写が雑!

さてと本作はベトナム帰還兵の主人公ジョンは親友を半殺しの全身麻痺へ追い込んだ街の悪党へ復讐をする為に、処刑人エクスタミネーターへと変貌していく物語。しかし肝心の復讐の為に処刑人になる主人公ジョンの決意、もしくは法を侵し一線を超える感情の爆発を表現する描写が全く無い為、折角の復讐劇が唐突に始まる印象なんです。その結果、ジョンにとって最初の処刑となるチンピラ共の溜まり場に銃で殴り込みをかける場面、ここって1番燃える場面なのに観てる此方は気分がノラないんです。だって、復讐に至るまでの過程がテキトー過ぎるからw。ジョンが復讐に燃える姿に感情移入出来ないって時点で致命的な欠陥な気がするんですよね、本作って。
ただ主人公ジョン自体は気に入ってるんです。元軍人ですが屈強さは無く、しがない白人男性って感じのキャラクターで、この手のバイオレンスアクションに相応しいキャラ。やっぱり復讐バイオレンスの鉄板は個人的に「普通の男が復讐の為に一線を超える」って展開が1番カタルシスを感じると思っているので、その点では本作の主人公ジョンの普通さは好みなんですが、いかんせん復讐に至る過程がテキトー描写過ぎて、ダメですな。このテキトーさ故に主人公ジョンの内面を語る上で大切な要素である「ベトナム戦争の後遺症に苦しむ姿」すら、ワンシーンのみでサラッと見せる程度の浅い描写で萎える萎える。戦争の後遺症をこんなテキトーさで見せる位なら描かない方がいいだろ!状態w。

そんでもって街の悪を一掃する処刑人「エクスタミネーター」として名乗りを上げる方法も地味でつまらないんですよねぇ。ニューヨーク市の政治家に脅迫めいた手紙を送りつけて「俺は街のゴロツキを一掃するエクスタミネーターだ」、、って。急にエクスタミネーターって名乗ってるし、しかも手紙なんかい!みたいなw。何故エクスタミネーターと名乗るのか?その理由が描かれてないのも不満です。こういったダークヒーローにとっては名前の由来が大事なのに。こんな感じで主人公ジョンが処刑人「エクスタミネーター」に変貌する最初の過程が雑過ぎて、観ていて結構キツイです。

首切り、ミンチ、焼殺、水銀入り銃弾!殺し方のゴア描写抑え目でガッカリ!

本作を観ようとしてる人ってどんな人でしょうかね?多分、謳い文句である「バイオレンスアクション」の部分に惹かれて「過激なゴア描写とかあるかも?」と期待する人が多い気がするんです。因みに自分もそのタイプでしてw。では、本作で期待する過激なバイオレンスやゴア描写が楽しめるかと言うと、これまた微妙です。オープニングのベトナム兵による米兵の首切りシーンは非常にバイオレンス度高めで満足しましたし、「序盤でこのレベルのゴア描写なら結構、過激な残酷シーン沢山ありそうじゃん!」と胸を高鳴らせていたのですが、え〜残念ながら、この首切りシーンが最高潮であり、以降はこれを超える直接的なゴア描写、バイオレンスは殆どありません。

例えば街の悪党をとっ捕まえて、精肉工場の挽肉製造機にぶち込んで、人間ミンチにする場面とかシチュエーション的にはバイオレンス度抜群な場面なんですが、人間がミンチになっていく過程のゴア描写、要するに人体損壊シーンは直接的に描かれてないんですよねぇ。これ、マジでガッカリでつまらない。他にもポン引き野郎を焼き殺す場面とかも火をつける所は映るんですが、人間が燃えてのたうちまわる場面は直接的には描かないとか。バイオレンスアクションの1番観たい残酷シーンがことごとく描かれないマイルドなゴア描写ばかりで期待外れが半端ない(泣)。
オープニングの首切り以外で唯一、好きなのは主人公ジョンが自分で細工した特性の水銀入り銃弾って言う凶悪な弾を44マグナムに込める場面ですかね。その凶悪な水銀入り銃弾を悪さする変態政治家の股間にぶち込む場面は、多少「おっ、良い感じ!」と思えるバイオレンス度かなって程度で。それ以外で見所となる処刑シーンは殆どありません。印象的な処刑シーンであるミンチや焼殺他、どれもシチュエーションとしては非常に観ていて燃えるし楽しいのですが肝心のゴア描写が余りにもマイルド過ぎて「観たい物が観れない」イライラ感がずっと付きまとう始末なんです。

因みに何故、バイオレンスアクションを謳っていながら、これ程までにゴア描写や残酷シーンが抑え目なのかと言うと、実は本作って公開当初は大作として大々的に宣伝されるメジャー作品だったんですよね。今観ると、古臭いカルト映画の匂いしかしない本作「エクスタミネーター」も当時は幅広い層に向けたメジャー大作映画だった事から大人から子供まで観られる用に残酷なシーンをかなり省いて製作されたっぽいのです。その事を鑑みると本作がバイオレンスアクションと謳ってる程にはバイオレンスじゃ無い理由も察しが付いてしまうっていう、、、ね(笑)

アメリカに対する不信感を内包するラストは尻切れトンボ気味!

処刑人エクスタミネーターとなった主人公ジョンが血祭りに上げる悪党共は救い難い奴らばかりで、そこは観ていて嬉しい限りなんですよねぇ。黒人をリンチする奴、娼婦に暴行するポン引き野郎と変態政治家、年金生活のおばあちゃんを襲うチンピラ、、どいつもコイツも正に因果応報とも言える死が待っている展開の本作。興味深いのは監督やプロデューサー達、製作陣のアメリカ社会の治安の悪さに対する確固たる怒りを感じる所なんですよね。「俺達の国は何でこんなに治安が悪いんだ!」という沸沸とした怒りが主人公ジョンの処刑って行動にめっちゃ結びついている感じ。更に言うなら、物語の中盤では処刑人エクスタミネーターを疎ましく思う巨悪が登場してくるのですが、その存在がアメリカ大統領選挙を控える政治家って設定なのが面白いんです。その政治家は大統領選前に社会的不安を煽るエクスタミネーターが選挙の邪魔になる事を危惧して暗殺を企むっていう、ワクワク展開。この大統領候補の政治家を悪として捉えている所に製作陣のアメリカって国への不信感をバシバシに感じるんです。そこについては製作陣のインタビューから察するに恐らく監督やプロデューサーら製作陣の周囲にはベトナム戦争経験者が沢山いるんですよね。製作のマーク・ベンツも「友人がベトナム戦争で爆弾に吹き飛ばされた。無駄死にだったと思う」と発言しアメリカのベトナム戦争を強く批判する姿勢を見せている所からも、アメリカって国への不信感とアメリカって国の治安の悪さに対しての怒りを強く感じる訳でして。そんな痛烈なアメリカ批判を内包する本作の不穏な空気漂う作風は非常に好きです。

ただねぇ、ベトナム戦争しちゃったアメリカへの強い批判精神は好感が持てるのですが物語として映画として、それを上手く描いた作品かというと微妙なんです。特にラストがねぇ、、つまらないのですよ。

エクスタミネーターを殺そうとする大統領候補が登場した時点では「おっ、これはエクスタミネーターが遂に大統領候補をぶっ殺す展開じゃん!」と思いテンションMAXだったんですが残念ながら、処刑人エクスタミネーターvs大統領候補の殺し合いには発展せず。何と、大統領候補の政治家が放った手下の狙撃手に撃たれて海に堕ちていく処刑人エクスタミネーター。その呆気ない負けっぷりに観ていて唖然w。そして狙撃されるも防弾チョッキのお陰で何とか助かりましたとさ、処刑人エクスタミネーター、、良かった良かった、、、で終わり。

「ん?何これ?これで終わり!何じゃこれ!」と叫びたくなる尻切れトンボなラストで口アングリ状態ですわ。要するに巨悪に処刑人が負けるって展開、、これは萎えます!ラストの処刑人エクスタミネーターを撃ち殺した狙撃手が「これで政府のお偉方も喜ぶだろうよ」のムカつく台詞にも萎え萎えです(怒)!
そりゃさ、法を侵し処刑を実行するエクスタミネーターである主人公ジョンを全肯定するのは難しいし、そりゃさ、アメリカって国の巨悪と戦うのは一筋縄じゃいかないゾ的な問題提起を含めたラストを意識しているのは分かるっちゃ分かるんですが、そこはやっぱり問題提起するよりも爽快感を優先して欲しかったぞ!と。
大統領候補に水銀入り銃弾をブチ込んで、その後でミンチにするみたいな最高に非道いラストを望んでいた身としては釈然としない終わり方で超絶ガッカリでした、、。

総評

主人公ジョンが処刑人になる過程の雑な描写、期待外れのバイオレンス、尻切れトンボなラスト等、、つまらない部分に文句を言い始めたらキリが無いのに駄作、凡作とは言い難い魅力を放つ、何とも困った映画でしたw。「街のゴロツキを処刑する」って言うコンセプトと殺し方のシュチュエーションが無茶苦茶センスが良いので不思議と最後まで観れてしまうんですよねぇ。この一長一短なクオリティの作風は正にカルト映画らしいっちゃらしいw。
尻切れトンボなラストから察するに続編もあるだろうし、やっぱり観ちゃうんだろうなぁw。

製作秘話

  • 本作の様な挑戦的な作品が製作された経緯についてジェームズ監督は「今と違い70〜80年代初頭は独自に資金を集め、いい話があると映画化し海外配給権を売って資金を回収する事が出来た為、本作の様な作品を作る事が出来た」と語っている。
  • 本作が製作された理由の一つがジェームズ監督が読んだ新聞記事がきっかけ。監督曰く「当時のNYは心ない犯罪が多発していて、その一連の記事を読み、市民の怒りが頂点に達していると強く感じたので映画化しようと思った」と語っている。
  • 主人公ジョンについては「ダーティーハリーの様な超人的なヒーローではなく平均点な男が怒りに燃えると何をするのかを描きたかったので、あのキャラクターにした」と語っている。
  • 当初はオープニングのベトナム戦争のシーンは映画本編には入っておらず、完成後に新たに撮影されている。その理由は製作マーク・バンツマン曰く「冒頭にベトナム戦争のシーンを入れる事で更にいい作品になると思った」との事。
  • オープニングのベトナム戦争のシーンは宣伝でもよく使われる映像になる為、派手さを意識し映画本編の約5倍の製作費をかけて撮影された。
  • 冒頭のベトナム兵による米兵の首切断シーンで使われるナタは製作マーク・バンツマンの母親の庭いじり道具を使っている。因みに首の切断シーンでは牛の胸肉が使用されている。
  • ジェームズ監督にとっても製作マークにとっても初の全米1位を獲得した作品である本作については製作マーク曰く「この作品には楽しかった思い出しかないよ」と語っている。
  • 本作は低予算のカルト作品として評価されがちだが、映画公開当初は大作扱いのメジャー作との触れ込みで宣伝されていた。
  • 本作がアメリカでヒットした事から、日本でも大ヒットすると製作陣は予測していたが結果、アメリカの次に大ヒットを記録したのは意外にもイギリスだった。製作マーク曰く「エクスタミネーター2が作れたのはイギリスのお陰」との事。
  • ジーノを挽肉(ミンチ)にする名シーン撮影時は事前に予定していたロケ地が倒壊してしまいスケジュールが狂った為、シーン自体が無くなる寸前だった。
  • ジーノを挽肉(ミンチ)にする名シーンの撮影当初は他にも様々なアイデアが出た。その一つが「ジーノを挽肉にし巨大なハンバーガーにして、それを新聞記者が見つける」というアイデアが出たが実現せず。

エクスタミネーターのオススメ度は?面白いのか?

オススメ度   50点

個人的に超好き❗️

オススメ度とは?

0〜20点・・・サイテー激ヤバ作

30〜40点・・・何か個人的に嫌い

50〜60点・・・個人的に超好き

70〜80点・・・万人に勧める良作

90〜100点・・・最高な超傑作

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ハリウッド大作から劇場未公開なマイナー作品まで日々映画鑑賞。ちょっとした映画の感想、好きな俳優の事を気ままに記事にしてます。

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