アーロンクォック人気頼み!映画コールドウォー香港警察二つの正義はデモを知る今も面白いか?

こんにちは、ぽんぽです。香港映画は基本ジャッキーとドニー・イェン作品しか観ない超偏りタイプの鑑賞法を実施している自分ですが、たまにはアクションスター以外の俳優が主演を張ってる香港映画も観ようと思いまして。因みに主演アーロン・クォックは香港では「四大天王」の1人に名前が挙げられる程の超人気スターらしいのですが、え〜ワタクシ全く存じ上げませんでした(失礼w)。超人気スターの演技なら観ておいて損は無し!かと思位鑑賞へ。では本作の感想(ネタバレ)、紹介していきたいと思います。

「コールド・ウォー 香港警察 二つの正義 50点(感想ネタバレ)」

予告編

作品情報

2013年劇場公開 香港
ジャンル:アクション
監督&脚本 リョン・ロクマン、サニー・ルク
出演者 レオン・カーフェイ、アーロン・クォック、アーリフ・リー、ラム・カートン

あらすじ

香港最大の繁華街モンコックで爆破事件が起こり、その直後に5人の警官が車ごと姿を消す。海外出張中の香港警察長官に代わり、次期長官との呼び声も高い行動班副長官のリーが捜査の陣頭指揮を執るが、消えた車にリーのひとり息子のジョーが乗っていたことが判明。リーは人質救出作戦「コールド・ウォー」を展開する。一方、同じく次期長官候補と言われる保安管理班副長官のラウは、リーの作戦が公私混同になりかねないと指摘。2人は激しく対立するが……(映画comより抜粋)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アーロン・クォック人気頼み!香港警察長官の座を巡るドラマは重厚?

冒頭シーンで日本人には馴染みの無い香港警察内部の派閥組織を赤青色分けし登場人物の顔と名前を添えてサクッと説明してくれるのが分かりやすい導入部で助かります。
警察を巻き込んだ犯罪が起きると返還後にリストラされた警察職員を最初に疑うなど香港ならではの犯罪捜査で面白いです。

しかし肝心の警官人質事件を解決する為に衝突する男同士のドラマは重厚とは言い難い所が散見されます。
事件解決の指揮を取る長官の座を巡りぶつかるリーとラウなのですが、職員の前で派閥トップ同士がお互いに怒鳴り合う姿は重厚なドラマとは程遠くて演技も含めて稚拙に感じるのです。
そこはリー役レオン・カーフェイとラウ役アーロン・クォックのベテラン演技で冷静ながらも内心はムカついてる腹の探り合いが観たかったです。それが重厚なドラマってもんでしょうよ(泣)
怒鳴り合い演技しとけば男同士の重厚なドラマだろ的な所は香港映画らしいセンスの無さであり、まぁ日本映画にもよく観られる残念ポイントですね。

そんなリーとラウは策略により事件の容疑者になり、2人を尋問する為に登場するICACのチョン役アーリフ・リーの演技がこれまたイマイチです。
犯人は警察内部にいる事から警察を監視する外部機関ICACのチョンが警察トップの2人を尋問で追い詰めるのですが演じるアーリフ・リーが若過ぎるんですよね。リーかラウ、どちらが事件に関わってるか分からない重苦しい雰囲気を維持すべきなのにチョン役アーリフ・リーの童顔と爽やか演技がぶち壊すのです。尋問シーンではレオン・カーフェイとアーロン・クォックの重苦しい演技による重苦しい雰囲気がアーリフ・リーの爽やかさにより「プシュー」と空気が抜ける如く緊張が緩和されてしまう事に。
事件の真相に近付く見所なのに残念(泣)。

これらの重厚とは言えないドラマと演技がチラつく中でもラウ演じる主演アーロン・クォックの精悍な顔立ちで何とか「重厚っぽい?」雰囲気を維持している感じですかね。
存在だけで辛うじて作品のクオリティを上げるアーロン・クォックは流石は香港の人気スター俳優ですな。

まぁ、ストーリーの早い段階から察しは着くんですよね。
「あ、この映画、アーロン・クォックの人気頼み系のダメ映画かも?」みたいな(失礼w)
ドラマ部分と演技の粗はアーロン・クォックの精悍な顔でカバーw

アクション控えめ?香港映画らしい雑なドンデン返し系サスペンス!

映画ポスターを見る限り、銃撃戦やカーチェイスが楽しめる香港アクション映画かと思いきや、劇中は銃撃戦とカーチェイスが2回程度でアクションは控えめです。
メインは警察内部の犯行を究明するドラマが見所のサスペンス映画となっております。

本作は警察内部のメイン登場人物が丁度良い人数の多さなので最後まで真犯人が分からず観てる側へのミスリードは効果抜群です。
ただ真相が判明していく過程の伏線回収は丁寧とは言えず、基本は「実はこうでした!」と後半になって突然、知られざる真実が明かされるという、力技に任せた流れw。
この雑なドンデン返しは香港映画らしくて個人的に好きですけどねw。

更に真犯人である息子ジョー役のエディ・ポンの演技が良いのです。
リーの息子であり、事件の被害者だった警察官ジョーが真犯人。
そんな歪んだエリート意識や警察組織改革への行き過ぎた情熱を秘める危うげな警察官ジョーをリアリティある演技で体現するエディ・ポンは若いながらオーラ抜群なんですよね。
まぁまぁ雑なドンデン返しにより真犯人が判明する流れですが、その先にはオーラ抜群で汚職警察官ジョーを演じるエディ・ポンが待ち受ける為、しっかり盛り上がります。

やっぱ、悪役がオーラ抜群だとサスペンスは粗があっても、ちゃんと面白いんですよね。

警察の汚職ネタは香港デモ「雨傘運動」を知る今も面白いか?

ラストでは息子の不始末により勇退するリー、方や香港警察長官に上り詰めたラウの2人は事件解決を経て、穏やかな会話シーンへ。
演じるレオン・カーフェイとアーロン・クォックら渋いオッサン俳優2人が晴れやかな表情で語り合う姿はスッキリ気持ち良くて好きです。「アンタら、よくやったよ、お疲れ様」と声をかけたくなりますw。

しかし!
その後に挿入される字幕による注釈がむちゃくちゃ余計でムカつくのです。

「香港警察とICACは治安が脅かされて際も中立と相互監視により法治国家の模範となった」

この注釈って要するに映画では汚職や腐敗を描きましたが実際の香港警察は良い組織ですよアピールですよね、、それってプロパカンダじゃね?問題が自分の中に生まれるんですよねぇ。

何故なら現実の香港では今、デモ運動する香港市民を香港警察が暴力で鎮圧する事態が発生しており、世界的にも「香港警察のイメージ」は地に落ちてるのです。
雨傘運動から始まった若者中心の民主化デモ運動は平和的に行われてるのに、それを暴力と不当逮捕で鎮圧する香港警察の最悪な姿は全世界に知れ渡ってる訳でして。しかも、香港警察は中国共産党の強い影響下にあるゆえ、劇中でラウが就任する警察長官のポストなんて実際はモロに中国共産党系の人間が就く役職なんですよねぇ。
本作のラストは法の秩序と人権を重んじるラウが警察長官になり、香港市民の平和は守られましたとさ、って終わり方ですが、現実ではその真逆って言う怖さ。法も人権も無視してデモ参加者を鎮圧しまくってる現実の悪い香港警察を知る身としては劇中の「香港警察は良い組織ですよ」アピールは中国共産党のプロパカンダを如実に感じてイラッとしてしまいます。

一応、政治とエンターテイメントは別物として楽しむ心情は自分の中にもありますが、罪もない香港市民がボコボコにされてる現実がチラついて素直に本作を楽しめないんですよね。
以前は警察組織に対して過剰なリスペクトを込めて描く香港映画のノリって結構好きだったんです。ジャッキー・チェンの「ポリスストーリー」とか大好きですし。
しかし現在は香港警察リスペクト的な描き方をするエンタメ映画には一瞬、「は?何言ってんだ?」と冷めてしまうのが香港映画好きとしては何だか悲しいゾ(泣)。
元々、映画ジャンルとして警察の汚職ネタを題材にした映画は大好きなのですが、香港デモ「雨傘運動」以降のエグい香港を知る今も面白いか?、、、うーむ、そこは微妙ですね。

映画の出来とは別に個人的に不満なのは市民を弾圧する香港警察については香港エンタメ業界も批判の声を挙げるべきなのに、それがほぼ無い所です。
特に劇中で警察長官の座についたラウ役のアーロン・クォックには何かしらの発信は期待したいのですが、、まぁ、無理ですかね。
恐らく、香港の芸能人は香港デモ運動に言及した時点で中国共産党の圧力により香港や中国のエンタメ業界から干されるのは確実でしょうし、批判や炎上もあるでしょうし。
でもねぇ、折角なら本作で法の秩序と人権を重んじる警察長官ラウを演じた超人気スター俳優アーロン・クォックこそ、世論を味方につけて香港情勢を良い方向に向かわせられると思うんですけどねぇ。

何故か超人気スターに香港の未来を背負わせようとしてる、サイテーな日本人の自分w
デモに参加した市民を暴力で鎮圧する、現実の香港警察はかなり最悪

総評

香港デモ運動をする市民を暴力で鎮圧する、実際の香港警察の最悪さがチラ付き、劇中ラスト「法と人権を守る香港警察」アピールに冷めてしまうのが残念です。

そこを切り離して評価すると真相が二転三転するサスペンスは香港映画らしい雑さはありますが、サスペンスとして面白いですし、主演アーロン・クォックの渋い精悍なビジュアルは大好きです。

それと本作の大ヒットにより、早くも続編「コールド・ウォー香港警察 堕ちた正義」が公開されるそうで、それも観たいなと思える位の出来でした〜。

コールド・ウォー 香港警察 二つの正義のオススメ度は?面白いのか?

オススメ度   50点

個人的に超好き❗️

↓U-NEXTで「コールドウォー 香港警察 二つの正義」シリーズ視聴可能です

本ページの情報は2021年5月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

オススメ度とは?

0〜20点・・・サイテー激ヤバ作

30〜40点・・・何か個人的に嫌い

50〜60点・・・個人的に超好き

70〜80点・・・万人に勧める良作

90〜100点・・・最高な超傑作

最新情報をチェックしよう!
>〜ヌルい映画レビューにお付き合い下さい〜

〜ヌルい映画レビューにお付き合い下さい〜

ハリウッド大作から劇場未公開なマイナー作品まで日々映画鑑賞。ちょっとした映画の感想、好きな俳優の事を気ままに記事にしてます。

CTR IMG