過激で真っ当な復讐劇!映画ナイチンゲールはレイプ&処刑シーン満載なのに清々しいラスト!

こんにちは、ぽんぽです。新作映画を物色している最中に何とリベンジスリラーの文字が飛び込んで来ました!うむ、好きなジャンルw。しかもオーストリア産のリベンジスリラーとなれば興味湧きまくりです。公開日に合わせ早速、鑑賞して来ました〜。では本作の製作秘話含めた感想(ネタバレ)、紹介していきたいと思います。

「ナイチンゲール 60点(感想ネタバレ)」

予告編

作品情報

2020年劇場公開 オーストリア・カナダ・アメリカ合作
ジャンル:リベンジ・スリラー
監督&脚本 ジェニファー・ケント
出演者 アイスリング・フランシオン、サム・クラフリン、バイカリ・ガナンバル、デイモン・ヘリマン、ハリー・グリーンウッド、マイケル・シェズビー、ユエン・レスリー

あらすじ

19世紀のオーストラリア・タスマニア地方。愛する者と尊厳を奪ったホーキンスへの復讐のため、クレアは先住民アボリジニのビリーに道案内を依頼し、将校らを追跡する旅に出る。(映画comより抜粋)

目次
・レイプと処刑が蔓延するタスマニア!圧倒的クズ野郎のホーキンスにブチ切れ!
・主人公クレアより過酷な境遇の黒人ビリーの存在が光る!丁寧な復讐ロードムービー!
・真っ当な復讐劇ゆえバイオレンス描写に過度な期待は禁物!
・アイスリング・フランシオンの歌声響くラスト!復讐の行く末は清々しい?
・総評
・製作秘話
・ナイチンゲールのオススメ度は?面白いのか?

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レイプと処刑が蔓延するタスマニア!圧倒的クズ野郎のホーキンスにブチ切れ!

約200年前のタスマニアっていう島が舞台となる本作ですが、序盤から既に陰鬱な映像と不穏な空気が支配していて、ヤバそうでワクワクですw。開拓時代のタスマニアでは白人が囚人を労働力としてこき使い、未開の地を切り拓いていく時代なんですよね。囚人に人権なんて物は無く駐留する兵隊達により強姦と処刑が蔓延する、正に地獄の島タスマニア!

その囚人の中に主人公クレアがいるのですが、この娘がまぁ散々な目に遭います。
囚人の中でも若く美しい主人公クレアには案の定、駐留する兵隊達による暴力とレイプの日々が待っているのです。その兵隊の中でもホーキンスってクズ野郎の将校が最悪ですw。囚人でありながら夫と赤子がいるクレアを夫の目の前でレイプしまくり、更に夫と赤子すら処刑する残忍さはバイオレンス映画好きとしてはメロメロ(不謹慎w)。
リベンジスリラーなる本作に相応しい圧倒的クズ野郎のオーラを放つ将校ホーキンスに拍手したくなりますw。クレアが命を賭して復讐する相手として申し分の無いクズw。

そんな将校ホーキンスは、たっぷりクレアを弄んだ後、自分は出世する為にローンセストンという地へと旅立つのですが、そう上手くはいきませんとも。夫と赤子を殺されたクレアはブツ切れまくりの復讐の鬼と化しホーキンスの後を追いローンセストンへ。

いよいよ、クズ野郎ホーキンスにより全てを失った、奪われし者クレアの復讐劇が幕を開ける事に!
観ている此方もホーキンス大嫌い&ぶっ殺したい衝動はMAXで

「その復讐の旅に付き合うぜ、クレアちゃん!」

という謎の男気モード全開の自分(キモイw)

この胸クソ悪さが最高に興奮する、ナイスな物語導入部となっております。

主人公クレアより過酷な境遇の黒人ビリーの存在が光る!丁寧な復讐ロードムービー!

復讐に燃えるクレアですが、銃も撃てないしホーキンスを追跡出来る様な術も無く戦闘能力は極めて低め(そりゃそうか)。って言うか、ホーキンスを追い詰めても返り討ちに遭いそうなクレアには復讐の旅を共にする原住民出身の黒人ビリーが現れるんです。銃の手入れが出来る上に、森の中でもホーキンスを追跡出来る観察眼を持つ頼りになる奴なんですが、この道案内人ビリーって奴が中々に強烈で本作に於いてもキラリと光る存在なんです。

と言うのは未開の地を開拓しまくる白人によって先住民の黒人は邪魔な存在ゆえにほぼ皆殺しにされる酷い時代で既にビリーの一族は殺されまくってるんです。おまけに白人が支配する地域なので、ゴリゴリに黒人差別も蔓延している最低っぷりでして。黒人は白人に出くわしただけで警告も無しに撃ち殺される所とか酷過ぎて口アングリ状態ですよ、マジで。
そこではたと気付くのは主人公クレアも可哀想だけど、それ以上に黒人であるビリーの方が可哀想だって事実。いつの時代も白人が行った蛮行の歴史の代表格は黒人差別なんだという事がよく分かる皮肉さが堪らんです。

そして本作の最大の魅力はなんてったって復讐劇の中で描かれるのクレアとビリーの心理描写の丁寧さです。クレアは酷い仕打ちを受ける可哀想な娘なんですが実は黒人に対して偏見や差別意識を持つザ ・白人!なんですよね。初対面で黒人のビリーに「人喰い!」と言い放つ所は結構酷いですし、復讐しか頭に無いクレアはボビーに銃を突きつけ無理矢理、復讐の旅に同行させる姿とかは白人であるクレアの傲慢さを感じたりして。そんなクレアが復讐の旅の中で黒人ビリーに信頼を寄せていく姿が細やかに描かれています。

対する黒人ビリーも最初は旅に同行するだけでクレアの復讐には関わりたくない態度でしたが、将校ホーキンスに叔父を殺された事がきっかけでクレアの復讐に協力する流れになる展開もこれまた細やかに描かれていて良い感じです。

時に助け合い焚き火を囲みながらお互いの身の上を話すクレアとボビーの復讐ロードムービーが非常に丁寧に描かれ2人に感情移入しまくりです。
クレアとビリーの心理描写が丁寧な復讐劇!

真っ当な復讐劇ゆえバイオレンス描写に過度な期待は禁物!

本作を観ていると中盤辺りから「あれ?意外と真っ当な映画だぞ?」と印象を改める事になるんですよね。クレアとボビーの心理描写が細やかで、復讐を題材としながらもロードムービーとして良い出来なんです。要するに復讐劇を丁寧に描く「ちゃんした映画」だと言う事に気付くって言うかw。

本作を観る方は自分の様に「過激なバイオレンス映画が観たい」って欲求を満たしたい方が多数だと思うのですが、その欲求が満たされるかと言うと期待外れかもしれません。確かにレイプや処刑などのバイオレンス描写は満載なのですが時代背景を鑑みるに全て事実に基づくであろうバイオレンス描写ばかりなのです。
結果、リアリティはあるのですが地味ですし血が噴き出し人体が破壊される様な過激さは無いのです。本作は宣伝文句に「過激なバイオレンス描写」を使っていますが、その過激さはあくまでも現実的なレベルの過激さで常軌を逸した感じではないのが拍子抜けかもしれません。
駐留地でストレスを溜めた兵隊がする蛮行として、そりゃレイプや殺人はあるだろうなという感じで、数あるバイオレンス映画が溢れる世の中に於いて本作のバイオレンス描写はそれ程、過激でもないのです。クレアが復讐でホーキンスの部下をナイフで滅多刺しする場面も、リアリティはあるのですが過激では無いですし。

本作の宣伝文句に釣られ「すんごい残酷なバイオレンス映画かも!」と期待し手を出すと意外と真っ当な映画でガッカリするかもしれません。かくいう自分は少しガッカリしましたしw。

そして本作のリアリティを追求した地味さは物語上、クレアが復讐を果たすカタルシスの部分でもマイナスに働いている気がするのです。
例えば、将校ホーキンスと部下達の後を追う追走劇が思いの他、アッサリ終わる場面とかが地味です。クレアとボビーが森の中を歩いて行くと、先の方に将校ホーキンス達の姿が見え、「あっ、ホーキンス達いた」ってレベルの地味さw。苦労の末、ホーキンス達に追い付いたんですから、バーン!みたいなBGMが欲しいと言うか、「遂にホーキンス達に追い付いたぞ!復讐するぞ!」って感じの盛り上がりや達成感が本作には無いんですよね。これもリアリティと言えばリアリティだと思うのですがw。
特に復讐の相手であるホーキンスと森の中で再会する時も、お互いに目を合わせて、フリーズする所とかリアルではあるけど拍子抜けで。
そこはやっぱ映画的に

「クレア、何故、お前がここにいるのだ!さては俺に復讐に来たのか!」位のホーキンスの狼狽えぶりは観たかったなw。

更に言うと、復讐の相手ホーキンスに再会した際、クレアが銃を構えながらも躊躇って殺せない所とか。人を殺す事を躊躇うクレアの姿はリアリティあるのですが、いよいよ復讐を果たす展開特有の爽快感やカタルシスは皆無で物足りない。そこは感情の爆発と共にホーキンスをぶっ殺して欲しいのに〜うーむ、ストレス溜まりますわ。結局、クレアはホーキンスを前に復讐の虚しさに気付いてしまい殺さず、ホーキンスを殺すのは黒人ビリーの方という意外な復讐の展開へ。何じゃい、この捻った展開は!とズッコケ気味w。
ただビリーの復讐の仕方は結構お気に入りで先住民らしくボディペイントを施し槍一本でホーキンスを刺し殺す所は納得の殺し方です。

復讐を諦めたクレアと違いビリーは復讐する事に躊躇いが無い所が白人と黒人の文化や価値観の違いが出ていて面白いんですよね。

「もしも一族の中に、悪い奴がいたら諭したりはしない。ただ殺すだけだ」

うむ、先住民らしいシンプルな思考で淡々と復讐を果たすビリーの姿がカッコいいw。
バイオレンス描写に過度な期待は禁物!

アイスリング・フランシオンの歌声響くラスト!復讐の行く末は清々しい?

主人公クレアに代わりホーキンスをぶっ殺したビリーですが、腹に銃弾を喰らって満身創痍。夜明けの浜辺で力尽きようとするビリーの姿は不思議と悲壮感や苦しさは無く、何処か晴れやかなのが胸を打つんですよね。復讐という為すべき事を成した人間特有の達成感みたいな物が死にかけているビリーから感じるっていうか。

一方、クレアの方は自分では復讐を果たす事が出来なかった上に、旅を共にしたビリーすら失おうとしてる訳で、晴れやかな死にかけのビリーと違ってクレアの表情はむっちゃ沈痛。
このラストシーンで見せる女優アイスリング・フランシオンの演技力の全てを総動員した様なクレアの表情は素晴らしいの一言です。ホーキンスの死により憎しみから解放された様にも見えるし、復讐を後悔している様にも見えるし、もっと言うならホーキンスなんかどうでもよくて、死にかけてるビリーを思い悲しんでる様にも見えるし。

観てる側としても、クレアが復讐の果てに何を思うのかが興味深くて女優アイスリング・フランシオンの表情を食い入る様に観てしまう程の超絶演技が炸裂しております。
そして夜明けの地平線を眺めながらポツポツと歌い出すクレア。愛する人を思う歌詞と歌声が優しげに響く、このシーンはレイプ&処刑シーン満載の本作にしては意外な程に爽やかな雰囲気なんですよね。ホーキンスにより、そして時代によって大切な存在を失ってしまったクレアとビリー。奪われし者である2人の行く末は夜明けの美しさと優しげなクレアの歌声により、非常に清々しいラストとなっております。

総評

しっかりとした時代背景を基に、丁寧な心理描写で復讐の旅を描いた真っ当なロードムービーで何て言うか無茶苦茶、ちゃんとした映画ですw。
逆に物凄いバイオレンス描写の過激さや復讐を果たすカタルシスを求める方には物足りないかもしれませんw。

にしても女優アイスリング・フランシオンは凄い女優さんですな。復讐を果たしたクレアの喪失感と達成感、おまけに後悔すら見え隠れする複雑な表情が素晴らしくて、ラストの夜明けシーンは食い入る様に観てしまいました。女優さんが良い演技をするリベンジ物は、やっぱ良い出来になりますね。

製作秘話

  • 主演女優アイスリング・フランシオンは本作への出演経緯について「脚本の最初の5ページを読んだだけで特別な何かを感じたの。絶対この役に受かってみせるわと思ってオーディション用の映像を監督に送ったの」と語っている。
  • 主演女優アイスリング・フランシオンは自身が演じたクレアについて「映画に於いて強い女性は非現実的に描かれがちだけどクレアはそうじゃないの。欠点もあるし感じが悪い時もあって人間らしいわ。そして立ち直る強さも持っている主人公よ」と語っている。
  • 役作りとして主演女優アイスリング・フランシオンは家庭内暴力の相談所へ行き、実際に性的暴力の被害にあった女性達の話を聞き役作りの参考にした。また映画で描かれている時代背景を理解する為に当時の資料を読み漁ったとの事。
  • 将校ホーキンス役サム・クラフリンは本作出演経緯について「前作ババドッグ 暗闇の魔物を観て監督の手腕に圧倒されて以来、ジェニファー・ケント監督作品にはいつか出演したいと思っていたんだ」と語っている。
  • 残忍な将校ホーキンスについてサム・クラフリンは「直接は描かれてないけど彼は複雑な家庭環境で育った事が示唆されている野心家なんだ。今まで演じた役の中で最も僕自身とはかけ離れたキャラクターだと思う」と語っている。
  • ジェニファー・ケント監督は自身が家族を亡くし人生について考える様になり、その事がきっかけで本作の脚本を書き始めたとの事。
  • ジェニファー・ケント監督曰く「時代モノを撮りたかったのでは無く、あくまでも暴力を題材にした映画を撮りたかった。現代のテロリズム含め暮らしの中にある暴力を意識して撮った。」と語っている。

ナイチンゲールのオススメ度は?面白いのか?

オススメ度   60点

個人的に超好き❗️

オススメ度とは?

0〜20点・・・サイテー激ヤバ作

30〜40点・・・何か個人的に嫌い

50〜60点・・・個人的に超好き

70〜80点・・・万人に勧める良作

90〜100点・・・最高な超傑作

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ハリウッド大作から劇場未公開なマイナー作品まで日々映画鑑賞。ちょっとした映画の感想、好きな俳優の事を気ままに記事にしてます。

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