こんにちは、ぽんぽです。映画「導火線」を観て以来ドニー・イェン映画の大ファンとなってしまった自分。そして、どうやら映画「導火線」以上の傑作と言われる映画があるとの情報を得て本作の鑑賞へ行き着きました。では本作の製作秘話含めた感想(ネタバレ)、紹介していきたいと思います。
目次
「SPL/狼よ静かに死ね 90点(感想ネタバレ)」
作品情報
2005年劇場公開 香港 ジャンル:アクション 監督 ウィルソン・イップ アクション監督 ドニー・イェン 出演者 ドニー・イェン、サモ・ハン・キンポー、ウー・ジン、サイモン・ヤム
あらすじ
1994年香港。黒社会のドン、ポー(サモ・ハン)の逮捕に執念を燃やすチャン捜査官(サイモン・ヤム)をリーダーに、ワー(リウ・カイ・チー)、サム(ダニー・サマー)、ロク(ケン・チャン)の4人の精鋭からなる特別重犯罪捜査班は、ポーの裁判の直前に重要証人を暗殺され立件できなくなり、やむなくポーを釈放するが、、(映画comより抜粋)
目次
・マフィアのボスと汚職警官チームの悪い奴合戦の楽しさ!
・ドニー・イェンVSサモハンに見る総合格闘技✖️カンフーの凄み!
・ラストは香港映画随一の衝撃度!やっぱ香港ノワールの後味は苦し!
・総評
・製作秘話
・SPL狼よ静かに死ねのオススメ度は?面白いのか?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マフィアのボスと汚職警官チームの悪い奴合戦の楽しさ!
本作の魅力はマフィアのボスと汚職警官チームの悪い奴合戦の楽しさ! チャン刑事は過去にマフィアのボスであるポー(サモ・ハン・キンポー)に命を狙われた事がきっかけで脳腫瘍を抱える事に。もう長くは生きられないチャン刑事は命を賭してポーの逮捕へと動き出すのですが、その捜査のやり口が汚い汚いw。ポーに罪を着せる為に証拠を捏造するわ、口封じに人を殺すわと一線を超えた捜査のオンパレード! 特にチャン刑事と仲間の汚職警官チームが角材と鉄パイプでチンピラを追い詰める姿はどっちがチンピラか区別出来ない位にアンダーグランドw。うむ、香港警察のイメージ激ワルですな。最初は正義の為に一線を超えた捜査をするチャン刑事ら汚職警官チームなんですが次第に道を踏み外し押収したポーの金を横領する事態に。これきっかけでマフィアのボスであるポーはブチ切れ、汚職警官チームの抹殺に乗り出すって言う「ザ・香港ノワール」な展開が最高です。 マフィアのボスも悪い奴だしチャン刑事率いる汚職警官チームも悪い奴らだし。両方とも悪い奴らだから、どちらが死んでもおかしくないってのが先が読めなくて面白いんですよね。 そんな悪い奴合戦を繰り広げてる所に赴任してくる主人公マー刑事(ドニー・イェン)。マー刑事も過去に殺人犯に障害を負わせる大怪我をさせてしまった「やり過ぎ」デカなので彼が捜査に加わるって事は荒事になる前触れw。ただねぇ、マー刑事は登場シーンが結構アッサリしていて既に悪い奴キャラが立っている魅力的なポーやチャン刑事ら汚職警官チームと比べると主人公なのに影の薄さを感じてしまうのが残念ですね。 でもまぁ、そこは宇宙最強と言われるアクション俳優ドニー・イェンなのでアクションシーンで動き出したら影の薄さなんて吹っ飛びますけどね。
ドニー・イェンVSサモハンに見る総合格闘技✖️カンフーの凄み!
さて本作最大の魅力と言えばやっぱりアクションですね。 先ずはドニー・イェンVSウー・ジン! ポーの命令で汚職警官チーム暗殺を実行するウー・ジン扮する殺し屋ジェットが良い味出してます。白装束に金髪サングラスっちゅうおしゃれなチンピラながら小刀で相手をメタメタに切り裂くヤバさと流れる様なカンフーが炸裂!次世代の香港アクションスターとして「第二のジェット・リー」と呼ばれるのも分かる流麗なカンフーですな、うむ。 ただ警棒持ったドニー・イェンとの対決ではマイナスもあり。小刀で襲い掛かるジェットなんですが動きが綺麗過ぎる上に小刀を持った立ち回りが昔ながらの武侠アクションそのもので現代の殺し屋感が無い。それに小刀のクオリティも明らかに作り物っぽい出来でイマイチ。切れ味や殺し屋のヤバさを演出するなら小刀じゃなくてバタフライナイフとかの方が良かったかも。ジェットがバタフライナイフで「ヒャっヒャ」言いながら斬りかかる方がヤバげな殺し屋っぽさが出たのになぁと思ったり。 とはいえドニーもウー・ジンも動きは抜群に良いので充分満足出来る対決シーンですけどね。 そして本作で実現した夢の共演がドニー・イェンVSサモ・ハン・キンポー! 香港映画黄金期を作り上げたレジェンドであるアクション俳優サモ・ハン・キンポーがマフィンのボス、ポーを演じるのですがハマりまくりです。久しぶりにどメジャーアクション映画への出演となったサモハンですが、ビジュアルがもう最高。老いて皺のある顔や肥えた体全てから貫禄あるオーラが出まくり。修羅場をくぐり腕っ節でのし上がってきたマフィアのボス感をビシバシ感じるんですよね。サモハンと言えば、昔の香港映画界を代表する大スターでありながら、コミカルな太った体ゆえ「動けるデブ」と揶揄される事もあったのですが、そんなコミカルなサモハンは何処にも居らず、本作ではマフィンのボスと優しい父親という2つの顔を併せ持つ渋い魅力的なオッサンを見事に演じております。正直、サモハンの演技とビジュアルの格好良さ共に今がピークかと。 更に肝心のアクションも衰え知らずのキレキレでございます、サモハン! マー刑事役ドニー・イェンの軽快なアクションに引けを取らず、手慣れた熟練のアクションで受けて立つ姿はもう神の領域!更にサモハンの肥えた肉体は圧倒的な防御力を誇るタフネスさも感じるし、正に戦う為の肉体w。更にはあの巨体でのしかかり馬乗りで殴りかかってくる戦闘スタイルはまぁ怖いw。 対するドニー・イェンは対空時間の長い蹴りやスピードの載った突きなど、流石の格闘アクションを披露してくれます。何よりも本作ではサモハンとドニーの格闘シーンでは従来のカンフーアクションに加え、タックルや寝技や関節技など総合格闘技が織り交ぜられてるのがむちゃくちゃ新鮮! ドニーの低くスピードの載ったタックルを相殺し寝技に持って行こうとするサモハン!超一流のアクションスター同士の攻防戦は極上のアクションシーンで、ずっと観ていたいw。
ラストは香港映画随一の衝撃度!やっぱ香港ノワールの後味は苦し!
主人公マー刑事、チャン刑事ら汚職警官チーム、そしてマフィアのポー。道を踏み外した奴らはその代償を命もしくはそれ以上の物で支払う羽目になる、これぞ香港ノワールな展開がラストには待ち受けております。 マー刑事とポーのラストバトル後の展開は衝撃的過ぎて口アングリw。 マー刑事の勝利に終わったかと思いきや、最後は何と倒した筈のポーから不意打ちを喰らい落下死するマー刑事!そして絶命! ってオイオイ、マー刑事、主人公なのに死んじゃったよ! と驚き、更にマー刑事の落下した車にはポーの家族が乗っていた為、家族も死ぬ事に。マフィアのボスであるポーはマー刑事には勝ったけど、そのせいで家族である妻と子を失うという最悪の鬱展開が! うーむ、衝撃ですよ。マー刑事役のドニー・イェンが死んでる所も衝撃ですし、妻と子を誤って殺してしまったポー役のサモハンが呻きながら悲しみに頭を抱える姿も衝撃過ぎです。 そして多くの犠牲を払いポーを逮捕したチャン刑事は、海辺で遊ぶ愛娘を眺めながら終わるっていう、穏やかな終わり方に見えるのですが、このラストシーンがまぁ曲者でして。 海辺で遊ぶ愛娘を座りながら眺めるチャン刑事なんですが、彼の後ろ姿をよく見ると項垂れてる様にも見えるんですよね。 そ、それってもしかして脳腫瘍が、、。 要するに一見穏やかに見えるラストシーンなんですが、よく観るとチャン刑事も最後は愛娘を眺めながら死んでるんですよね。正に「SPL狼よ静かに死ね」の映画タイトルに相応しい、何とも静かな死に方をするチャン刑事! って事は、主人公マー刑事は死んだし、汚職警官チームも死んだし、生き残った筈のチャン刑事も結局は脳腫瘍で死んだし。 って事は、メインキャラほぼ全滅じゃん!と。 マフィアのボスであるポーは逮捕され、多分生きてるだろうけど、彼の場合は死ぬより酷い苦しみを味わってる筈だし。 な、なんじゃこりゃ!と衝撃を受ける程に救いようのない魅力的な物語w。 道を踏み外した男達の獰猛で暴力的な姿はまごうことなき狼。そんな狼達が払った大き過ぎる代償が「死と喪失」ってのが最高ですわ。 本作のラストは香港映画随一の衝撃度!やっぱ香港ノワールの後味は苦し! この悲し過ぎるラストが大好き過ぎてカタルシスを感じてしまう変態野郎な自分は思わず喜びで打ち震えてしまいましたよ(馬鹿w)
総評
久々にサモ・ハン・キンポーを映画で観ましたが、老いと太めの体格全てがプラスの方向に働き、渋くて貫禄あるオーラ出まくりです。ぶっちゃけ、ビジュアルの魅力としてはサモハン史上最高レベルの格好良さかとw。 更にドニーイェンVSサモハンの極上アクションが凄い! カンフー✖️総合格闘技を織り交ぜた格闘アクションの迫力と新鮮さに感涙ですよ、もう。明らかに香港アクションの新境地を開拓してるって言うか。 そしてメインキャラほぼ全滅とも言える、悲し過ぎるラスト!衝撃的過ぎて、むしろ気持ちいいレベル(変態w)。 いやぁ、面白かったし、大好きだし、最高だし! うむ、香港アクションの最高峰も楽しめる上にノワール物としても極上のダークな魅力を放つ、超良作です。
製作秘話
- 主演だけで無くアクション監督も担当したドニー・イェンは「本作を観た後はハリウッドや韓国、日本のアクション映画よりも中国のアクション映画が1番だと観客に思ってもらえる筈だ」と映画の出来に自信を滲ませながら語っている。
- 殺し屋ジェット役ウー・ジンはドニーとの一騎討ちのバトル撮影時にドニーから仕切りに「もっと強く来い」とアクションに関して指示があったと語っている。
- サモ・ハン・キンポーはマフィアのボス役について「どんな悪い人間でも心の根っこの部分には善を持ってる筈だ。人によって表現方法が違うだけでね」と本作で演じた悪役についての思いを語っている。
SPL/狼よ静かに死ねのオススメ度は?面白いのか?
オススメ度 90点
最高な超傑作❗️
DVDは廃盤で入手困難かもしれません。お早めにw。
オススメ度とは?
0〜20点・・・サイテー激ヤバ作
30〜40点・・・何か個人的に嫌い
50〜60点・・・個人的に超好き
70〜80点・・・万人に勧める良作
90〜100点・・・最高な超傑作