相関図を頭に叩き込め!映画オリエント急行殺人事件はポアロ役ケネス・ブラナーの推理セリフを聞き逃すな

こんにちは、ぽんぽです。最近は映画「High &Low the Movie2 END OF SKY」を観て不良達の殴り合いを頭空っぽにして楽しんでおりますした。さて次は逆に頭を使う系の映画でも観ようかなと思ったり。ミステリー映画とか推理モノの映画って結構、珍しいジャンルですよね。あんまり公開される作品も少ないし。そんな中、往年の名作ミステリー映画「オリエント急行殺人事件」のリメイク作が公開されるとの情報が。オリエント、、か、名前だけ聞いたことある位ですが、たまにはミステリーも良いかなって気分もあり何となく劇場で鑑賞へ。では本作の製作秘話含めた感想(ネタバレ)、紹介していきたいと思います。

「オリエント急行殺人事件(2017) 60点(感想ネタバレ)」

予告編

作品情報

2017年劇場公開 アメリカ
ジャンル:ミステリーサスペンス
監督 ケネス・ブラナー
原作 アガサ・クリスティ
出演者 ケネス・ブラナー、ジョニー・デップ、ペネロペ・クルス、ジュディ・デンチ、デイジー・リドリー、ミッシェル・ファイファー、ウィレム・デフォー

あらすじ

寝台列車オリエント急行で、富豪ラチェットが刺殺された。乗客たちと車掌をあわせた13人が、殺人事件の容疑者となる。そして、この列車に乗り合わせていた世界一の探偵エルキュール・ポアロは、事件の解決に挑む。(映画comより抜粋)

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名言連発の探偵ポアロが乗る列車オリエント急行の豪華な内装が楽しい!

世の中は所詮、善と悪。その中間はない」「恐らく世界一の探偵です」など自信と確信に満ちた自惚れセリフ、、いや、名言を連発する探偵ポアロ(ケネス・ブラナー)。彼が良い感じに変人で良い感じにマヌケで、へぇ〜こんな探偵キャラが存在するんだなぁと新鮮な気持ちになる冒頭。何よりも著者アガサ・クリスティの原作小説「オリエント急行殺人事件」を読んだ事が無い自分にとってはポアロっていう探偵のキャラクター像に触れるのは本作が始めてなので、ついつい劇中のポアロの行動一つ一つに興味津々でしてw。ポアロのひねくれ者一歩手前の所や小説を読み1人でゲラゲラ笑う所、自信過剰な所、どれもが目新しくて楽しいんですよね。オマケにポワロの髭がまた強烈で。ほぼアニメのコスプレって感じのデカさの髭からはコミカルでユーモア溢れる雰囲気がプンプンです。このおじさん、面白いキャラしてんじゃん!みたいなw。いかんせん、名探偵として自分が思いつくのは基本、コナンと金田一少年のみという、我ながら狭い見識を持つ自分にとってポアロっていう新たな探偵キャラは非常に魅力的に映りました。
そんな魅力的な名探偵ポアロと同じくビジュアル面、映像面で自分を満足させてくれる存在が列車オリエント急行です。雪積もるイスタンブールの自然を眺めながら走る寝台列車、、この寝台列車ってのがまたロマンですよねぇ。列車に揺られながら寝て目が覚めたら別の場所に着いてる、正に旅!って感じがロマンw。内装も高級感あふれる、シックな豪華さで堪らんです。この列車に乗って旅してみたいゾ!と思える素敵な列車、、そこに様々な背景を抱える登場人物達が乗り合わせてくる展開、、これまたロマンがあって素敵です。
列車オリエント急行の豪華さと名探偵ポアロの魅力をバッチリ感じる物語導入部分。それを観るだけで、これから上質なミステリー映画が楽しめるであろう嬉しい予感でいっぱいで、もうワクワク止まらん状態ですわw。
実際に運航している列車オリエント急行!乗ってみたい!

2年前の悲劇!アームストロング事件の全貌

序盤は列車オリエント急行の豪華な内装と景色を楽しみ、何だか旅映画を観ている気分。しかしながら遂に殺人事件が起こるのです!いよっ!待ってました!ww。
殺されたのは美術商のラチェット(ジョニー・デップ)で彼の部屋にある証拠から、とある事件が浮かび上がってくるんです。それが2年前に起きたアームストロング事件ってヤツでして。
このアームストロング事件、むっちゃ重要です。特にアームストロング事件の主要人物である5人の名前をしっかり覚えておかないとヤバし、です。

事件の概要と全貌としては
『アームストロング家の一人娘デイジーが誘拐され殺される。それが原因で妻ソニアが死に夫ジョン・アームストロング大佐も拳銃自殺する。真犯人カセッティは捕まらず代わりに容疑者となったメイドのスザンヌは後に自殺。』

とまぁ、一家全滅の悲劇の事件ですね。本作を楽しむ上でジョン・アームストロング大佐、妻ソニア、娘デイジー、犯人カセッティ、メイドのスザンヌの5人は重要人物なのでバッチリ覚えねば!です。

因みに名探偵ポアロは事件当時、誘拐事件として解決を依頼されるも既に手遅れとなってしまった未解決事件なんですよね。うーむ、名探偵ポアロにとっても苦い思い出のある事件が2年の時を経て、思いもしないタイミング再び関わりを持ってくる不気味な偶然、、最高にウキウキw。これこれ、これがミステリーの醍醐味ですよ。過去に起こった事件が関わってるっていう展開、超好きです(笑)。それにしても、ラチェット役ジョニー・デップが早々と殺されて退場するのは新鮮で地味に楽しいですw。

登場人物の相関図を把握しポアロの推理セリフを聞き逃すべからず!

列車内で突如として起こるラチェット殺人事件の解決を依頼される名探偵ポアロは乗客に片っ端から事情聴取を実施していくのですが、この事情聴取の会話劇がとても重要なんです。特にポアロの推理セリフが超大事です。ポアロと容疑者達との会話劇の中にはポアロの推理、容疑者の過去や彼らの正体など事件の重要なネタが全て詰まっているんです。しかもそれが回想シーンは殆ど無く、あくまで会話の中にアッサリと散りばめられているので、容疑者とポアロの会話を聞き逃すと、それだけでストーリーに置いてけぼりを喰らいますw。気を抜きながら観ていると「ん、ん?今、この人、むっちゃ大事な事を喋った気がするぞ?何だっけ?」みたいな感じになりますので、ご注意をw。そこで登場人物の名前や職業、本当の正体を分かり易く、相関図的な意味合いを込めて箇条書きにしてみましたので、宜しければ本作を鑑賞する上での補足としてお使い下さい。特に顔と名前が一致せず頭がこんがらがっている方はぜひ。

【エドワード・ラチェット】
美術商でオリエント列車で殺される人。実はアームストロング事件で一人娘デイジーを誘拐し殺した真犯人カセッティ。

【ヘクター・マックイーン】
ラチェットの助手。実はアームストロング事件で失脚した弁護士の息子。

【ゲアハルト・ハードマン】
教授。実は元警察官でアームストロング事件で自殺したメイド「スザンヌ」の恋人。

【ピエール・ミッシェル】
列車オリエント急行の車掌。実はアームストロング事件で自殺したメイド「スザンヌ」の兄。

【エドワード・マスターマン】
ラチェットの執事。実はアームストロング家の従者。

【ピエール・エストラバドス】
宣教師。実はアームストロング家一人娘デイジーの乳母。

【ドラゴミロフ公爵夫人】
金持ちおばあちゃん。実はアームストロング家一人娘デイジーの名付け親。

【ヒルデガンデ・シュミット】
ドラゴミロフ公爵夫人の従者。実はアームストロング家の料理人。

【マルケス】
自動車販売員。実はアームストロング家の運転手。

【エレナ・アンドレニ伯爵夫人】
実はアームストロング家の妻ソニアの妹。

【メアリ・デブナム】
実はアームストロング家の家庭教師。

【アーバスノット】
医師。実はジョン・アームストロング大佐の親友。

【キャロライン・ハバード】
未亡人。実は、、、(ここについては察して下さいw)

うーむ、どうでしょうか?こうやって書き出してみると、列車オリエント急行に乗っている登場人物達はアームストロング家に関わりを持つ人達ばかり。要するにアームストロング一家の事が大好きな人達、もしくはラチェットを憎む人達ばかりですよねぇ。慕っていた主の仇討ちに復讐、、考えられる殺人の動機としては誰がラチェットを殺してもおかしくない、正に全員怪しい容疑者ばかりです。この謎めいて掘り下げれば掘り下げる程、興味をそそられる登場人物達の間で「こいつが犯人だろ?いや、もしかしたら、こいつか?」と考えながら、気付いたら作り手のミスリードにハマりまくっていく自分w。くぅ〜!これぞミステリー!と楽しむ為にも、容疑者達の名前は頭に叩き込んでおきましょう!(ビシっ)

徐々に感情的になる探偵ポアロに違和感ありつつもラストの意外な真相は衝撃!

全員が殺人を犯す動機がありながらも、アリバイを崩す事が出来ず真犯人に辿り着けない名探偵ポアロは序盤のユーモラスな自信家っぷりは鳴りを潜め、次第に感情的になっていきます。ここら辺からポアロの探偵像に少し違和感も出てくるんですよね。例えば容疑者を尋問する場面では非常に感情的に怒鳴りながら、相手に自白を求める姿は、名探偵とは程遠い姿で個人的にはガッカリする姿だったりして。やっぱり名探偵には冷静沈着なキャラクターでいて欲しいので若干、不満です。ただまぁ、そこはポアロ自信、思いもしない難事件に関わってしまい自信を喪失してる所が劇中で丁寧に描かれているので一応、感情移入は出来ますけどね。自信喪失の最中にいる名探偵ポアロですが、持ち前の人の本質を見抜く洞察力のお陰でラチェットを殺した真犯人にやっと辿り着くのですが、それがまた、中々の意外性溢れる真相が待っております。

まずは真犯人として名前が挙がるのは、、ドドーン!ハイ!未亡人のキャロライン・ハバードです。何と彼女の正体はアームストロング家の妻ソニアの母であり一人娘デイジーの祖母である女優リンダ・アーデン。要するに彼女は誘拐され殺された一人娘デイジーのおばあちゃんなんです。おばあちゃんが正体を偽り可愛い孫を殺しやがったラチェット(本名カセッティ)を殺害したって事が判明するんですよね。うーむ、意外だけど、むっちゃ納得出来る真犯人に「そっかぁ、未亡人キャロラインが犯人だったかぁ〜分からんかったぁ」と1人で盛り上がる自分。盛り上がりつつも、さてと真犯人も分かったし殺した動機も判明したし、これで事件は幕引きかと思いきや、そこから更にもう一段、強烈なオチが炸裂します。

何と未亡人キャロライン、、いや本名リンダ・アーデンはあくまでも主犯格。何と何と、、何と何と、、容疑者達、全員が殺人の実行犯だった事が判明する超展開へと繋がっていくのです。そうなんです、名探偵ポアロが容疑者達のアリバイを崩せず苦労したのは当たり前!全員、殺人の実行犯で全員が口裏を合わせていたのですから、そりゃアリバイも崩せない訳でして。列車の乗客、全員が殺人犯っていうトンデモ真相、、原作知らない自分にとっては破壊力抜群ですよ、これは、、。この衝撃の真相がもう堪らなく、面白くて楽しくて、最高です。

その後の展開も非常に新鮮な流れになってます。真相に辿り着いた名探偵ポアロは何と真相を明るみにしただけで、この殺人を実行した乗客達を見逃すという、決断を下すのです。「世の中は所詮、善と悪しか無い。その中間は無い」と自信満々に名言を炸裂させていたあのポアロが殺人を犯した乗客達の罪を問わないっていう結構、意外なオチでして。「ここに殺人者はいない。ここにいるのは傷を癒すべき人々だけだ」と優しげな名言を残し列車を降りる名探偵ポアロの姿がまぁカッコ良くて、哀愁があって良い!それにしても殺人事件の真相に辿り着きながらも犯人を見逃す名探偵って無茶苦茶、新しくないですかね?コナンや金田一少年だったら、どんな同情の余地ある殺人犯でも結局、逮捕しちゃうだろうに(笑)。ある意味、自分の中にある「善と悪の価値観」を曲げて殺人犯である乗客達を見逃す決断をしてしまう名探偵ポアロの人間臭い部分、矛盾する部分が非常に魅力的に映るんですよね。探偵ポアロ役ケネス・ブラナーの顔面ドアップ演技も相まって「ポアロさん、あんたよく頑張ったよ、休暇中なのに」と労ってあげたい気持ちになりますw。

そして列車内では乗客達が、復讐を遂げた達成感と何処かしら物悲しさを感じる佇まいを見せながら映画は幕引きへ。うーむ、豪華でシックな列車オリエント急行の旅の終わりに相応しい、大人で哀愁漂うラストに大満足です。
休暇中なのに事件解決!よくやった、探偵ポアロ!

総評

アガサ・クリスティの原作「オリエント急行殺人事件」を知らない自分にとっては初見で登場人物の名前を覚えるのが大変な映画でした(笑)。1回目は探偵ポアロのキャラクターとラチェット殺人の真犯人を理解するので精一杯。2回目は登場人物達の名前と顔を一致させるって感じで。
ええ、そうなんです。久しぶりに同じ映画を2回観るっていう珍しい鑑賞方法をしてしまいましたw。2回観なきゃ分からない駄作なのか?と言いますと全くそんな事は無く、ミステリー映画として普通に良作です。列車の豪華な内装は楽しいし探偵ポアロのキャラは新鮮だし事件の真相は破壊力抜群の衝撃だし。中盤の感情的になるポアロは名探偵っぽく無くてケチが付いていますが些細な事かと。いや、むしろ良作だからこそ、2回も鑑賞出来たって感じです。それ位に映像に力があるし、台詞は伏線が効いてるしで、めっちゃ楽しかったです。
それとラストでは新たな事件の始まりを予感させる終わり方だったので、またポアロを主人公にした続編があったら観てみたいです。勿論、ポアロ役はケネス・ブラナーでお願いしますw。

製作秘話

  • 「アガサ・クリスティの秘密ノート」著者ジョン・カラン博士はアガサ・クリスティ作品の魅力について「クリスティ作品は緻密なプロットと読みやすさが魅力で読者層が幅広い。英文学の教授も読むし授業中密かに読む学生もいる。だからこそ生誕120年を経た今も高く評価されている」と分析している。
  • ラチェット役ジョニー・デップは原作者アガサ・クリスティについて「彼女の作品を子供の時に読みファンになったんだ。細部まで入念なプロット作りや人間に対する観察力に驚くんだ」と絶賛している。
  • 原作小説「オリエント急行殺人事件」が執筆された1930年代はアガサ・クリスティ作品の黄金期と呼ばれている。傑作揃いのクリスティ作品の中でも「オリエント急行殺人事件」はその頂点にあると評価されている。
  • オリエント急行殺人事件が生まれた1930年代のミステリー小説に於いて「連続殺人」を扱う事は非常に斬新な発想だった。
  • クリスティ作品の人気キャラ、ポアロは執筆当初は1作限りの登場の予定だった。因みにポアロが初登場する原作小説「スタイルズ荘の怪事件」は当初、出版されるかどうか未定の小説だった。
  • 探偵エルキューレ・ポアロのモデルは第一次世界大戦後、トーキーに訪れた難民の中にたまたまいた「卵形の頭でヒゲをたくわえたベルギー人」。アガサ・クリスティ曰く「この人みたいなベルギー人の探偵がいたら面白い」との発想だったとの事。
  • 劇中のポアロの特徴的な髭は半年間かけてデザインされた。因みに原作小説ではポアロの髭を「英国で最も堂々たるヒゲ」と表現されている。
  • 劇中、列車の車窓から見える雪山の景色はニュージーランドで撮影した山脈の映像を使用している。
  • 列車が出発するイスタンブールの駅のセットは元タンク工場を改装して作られている。
  • 列車が駅を出発する場面では約1,6キロの線路をスタジオ内に作り撮影された。
  • デジタル技術で撮影される映画が主流である現代では珍しく本作は65ミリのフィルムで撮影されている。その理由としてケネス・ブラナー監督曰く「フィルム撮影の方が色やトーンやコントラストの鮮明度が高くなり人間の目を通して見たものに近い映像が撮れる」との事。

オリエント急行殺人事件のオススメ度は?面白いのか?

オススメ度   60点

個人的に超好き❗️

オススメ度とは?

0〜20点・・・サイテー激ヤバ作

30〜40点・・・何か個人的に嫌い

50〜60点・・・個人的に超好き

70〜80点・・・万人に勧める良作

90〜100点・・・最高な超傑作

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ハリウッド大作から劇場未公開なマイナー作品まで日々映画鑑賞。ちょっとした映画の感想、好きな俳優の事を気ままに記事にしてます。

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