こんにちは、ぽんぽです。実は自分、フランス映画って結構苦手なジャンルなんです。フランスのアクション映画は好きなんですけど、感動ドラマ系のヤツは意外と好きじゃなくて。地味過ぎるって言うか(笑)ですがイヤイヤ、映画好きとして喰わず嫌いはいかん!と謎の使命感に駆られ、目に付いた何となく良さげな本作を観てきました〜。では本作の製作秘話含めた感想(ネタバレ)、紹介していきたいと思います。
「エール 50点(感想ネタバレ)」
作品情報
2015年日本劇場公開 フランス
ジャンル: ドラマ
監督 エリック・ラルティゴ
原作 ヴィクトリア・べドス
出演者 ルアンヌ・エメラ、カリン・ヴィアール、フランソワ・ダミアン、エリック・エルモスニー、ロクサーヌ・デュラン
あらすじ
フランスの田舎町に暮らすベリエ家は、高校生の長女ポーラ以外の全員が聴覚障害者だったが、「家族はひとつ」 を合い言葉に明るく幸せな毎日を送っていた。ある日、ポーラは音楽教師からパリの音楽学校への進学を勧められる。しかしポーラの歌声を聴くことのできない家族は、彼女の才能を信じることができない。家族から猛反対を受けたポーラは、進学を諦めようとするが……。(映画comより抜粋)
聴覚障害を持つ家族の明るくユーモラスな手話が楽しいけど娘ポーラの歌唱シーンは総じて盛り上がりに欠ける!
【聴覚障害を持つ家族が手話で交わす会話の意外な内容が新鮮】
農場を営む4人家族のベリエ家は娘ポールを除く3人全員が聴覚障害を持っているのです。さぞや日常生活でも苦労していると思いきや、この家族、非常に逞しくユーモラスで楽しい家族なんです。面白いのが家族が手話で交わす日常会話の内容なんです。例えば、娘の前でも包み隠さず性生活を手話で話し合う両親の姿。そこまで「あけすけ」に性生活を話す様は結構驚きです。しかも娘の前で(笑)
聴覚障害を持つ家族ゆえ非常にオープンな関係性の家族が新鮮で面白いです。
母親はエネルギッシュで明るくて美人。父親は逞しくて喧嘩っ早い所もあるし、息子は思春期らしく手話の言葉遣いも下品で携帯ゲームばかりやってるし。唯一の健常者である娘ポーラに助けられつつも、ベリエ家の生活は非常に楽しそうなんですよね。
よくある映画的な「障害を持ちながら生活する大変さ」を誇張してない、自然体の障害を持つ家族を描いている所に好感が持てます。
【歌と出会い自分の夢を見つけた娘ポーラが直面する家族問題】
恩師から歌の才能を見出され歌う楽しさに目覚めていくポーラ。彼女が通学路や自室で人知れず歌を口ずさむ姿がザ・青春って感じなのが良いです。若者が何気ない日常の中で夢を見出していく姿は眩しいですね、うむ。更に歌声に関しては流石の一言。オーディション番組「the voice」出演者なのは伊達じゃないですな(誰目線w)。
そして、いつからか彼女はパリの音楽学校へ進学する夢を見つけるのですが、それと同時に家族の問題にも直面する訳なんです。ベリエ家唯一の健常者であるポーラは昔から父や母や弟の通訳の役割を家族間で担ってきたんです。ポーラがパリに行ってしまったら少なからず家族も生活の中で困る事があるんですよね。自分がいなくなった後の家族に対する心配と自身の夢への思い。
障害者を家族に持つ、ポーラならではの悩みに複雑な感情を覚えます。
【娘の夢を前に苦悩する両親の思いを追体験させる神演出】 歌う為に進学する「夢」を見つけた娘ポーラ。しかし父と母は素直に娘を応援出来ずに苦悩するという意外な展開が待っています。その理由は母の涙ながらの独白で明らかに。聴覚障害を持つ父と母は娘の歌声が聴こえないんですよね。愛する娘の夢であり才能でもある歌声を聴く事が出来ない、、それが父と母の苦悩の原因なんです。改めて聴覚障害者である事を悔やむ、両親の姿が泣けます。 聴こえない事がどれだけ歯痒い事なのか。その苦悩はある場面でのエリック監督の神演出で改めて実感する事になります。 その場面とは学校の発表会でポーラがデュエット曲を披露する所です。素晴らしい歌声が響き渡るポーラの歌唱シーンで突如、無音になる演出があります。要するに聴覚障害がどんな感覚なのかを視聴者に追体験させる演出がぶち込まれてくるのです。さっきまでは聴こえてた素晴らしい歌声が聴こえない、、そのもどかしさと歯痒さ、、これが聴こえないという感覚なのか、、と。 娘の夢を前に苦悩する両親の思いを改めて感じさせられる、エリック監督の神演出!冴え渡っております。
【フランス映画の地味さ?歌唱シーンは盛り上がりに欠ける】 本作はフランス映画の良い部分と悪い部分、両方が垣間見える作品となっております。聴覚障害をユーモラスに、ポーラの心情を丁寧に描く点は良い部分ですが、悪い部分もあるのです。 例えば、総じてポーラの歌唱シーンが盛り上がりに欠ける所です。多分、ポーラが歌うのが古くから歌い継がれている民謡歌ばかりだからです。フランス人には馴染みある歌でも日本人の自分には歌詞や曲調が暗く地味な歌ばかり。カメラワークも派手さは特に無し。正直、主演ルアンヌの歌の上手さを引き出しにくく歌唱シーンが盛り上がりに欠けるんですよね。エンタメ性を考えると、そこは選曲ミスかもしれません。フランス映画の地味さが少し悪い方向に行ってしまった部分かと。 とはいえ、ラストの歌唱シーンはやはり感動的でした。進学試験の課題でポーラが披露した「青春の翼」! 他の地味な曲とは違い、めっちゃ良曲です。親元離れ旅立つ子の心情を歌った歌詞がポーラの心情にリンクし、まぁ、ホント感動的。聴覚障害を持つ家族へ伝える為、手話を交え歌われる素朴な歌唱シーンが泣けます。 ピアノ伴奏のみのシンプルな歌唱シーン、、まぁここでもフランス映画の地味さが出ているのですが「青春の翼」自体が超良曲ですので全く問題無し!最後はちゃんと盛り上がれます(笑)
製作秘話
- エリック監督自身も、従兄弟に重度の聴覚障害者がおりコミュニケーションを取るのに苦労した経験があり、今回の撮影でもその時の経験が役に立ったと語っている。
- 俳優達に手話を指導したのは聴覚障害者支援団体ARISの職員。
- 俳優達の手話の特訓期間は1日4時間の個人レッスンを半年間行った。主演ルアンヌは手話と同時に言葉を話す「バイモダル」と呼ばれる難しい役割を担った為、手話の習得に苦労したとの事。
- エリック監督がオーディション番組「the voice」に出演しているルアンヌの歌声を偶然聴いた事により彼女を主演に起用する事が決まった。
- ルアンヌは本作の役作りをきっかけに、手話が大好きになり、彼女が通う学校の選択科目も手話で受験するつもりだと語っている
- 母親ジジ役のカリン曰く「母親が娘の前で性生活の話をするフランクな場面は映画らしく誇張されているが実際の聾唖者同士でも比較的よくする会話なの」と語っている。
エールのオススメ度は?面白いのか?
オススメ度 50点
個人的に超好き❗️
オススメ度とは?
0〜20点・・・サイテー激ヤバ作
30〜40点・・・何か個人的に嫌い
50〜60点・・・個人的に超好き
70〜80点・・・万人に勧める良作
90〜100点・・・最高な超傑作