こんにちは、ぽんぽです〜。前作「ひぐらしのなく頃に劇場版」はコアファンならば多少は楽しめる要素がある微妙な輝きを秘めた凡作実写映画って感じで自分は結構好きなんですよねw。さて続編である本作も少しだけ期待しつつ鑑賞へと至りました。では本作の製作秘話含めた感想(ネタバレ)、紹介していきたいと思います。
目次
「ひぐらしのなく頃に誓 劇場版 30点(感想ネタバレ)」
作品情報
2009年劇場公開 日本 ジャンル:サイコサスペンス 監督&脚本 及川中 原作 竜騎士07 出演者 前田公輝、飛鳥凛、松山愛里、あいか、小野恵令奈(AKB48)、大杉漣、三輪ひとみ、川原亜矢子、他
あらすじ
両親の離婚の原因が自分にあると思い込み、精神的バランスを崩した少女レナ。父と一緒に雛見沢村へ引越してきた彼女は、東京からやってきた圭一らと仲良くなるが、そんなある日、彼女は父の新しい恋人が財産目当てであることを知り……。(映画comより抜粋)
目次
・罪滅ぼし編を実写化した理由は?
・キャストの意外性!大石役の大杉漣のやり過ぎ演技に爆笑!
・前田公輝らメインキャスト達の演技合戦が虚しくなるゴミ置き場のショボさ!
・松山愛里の狂気の演技を台無しにする残酷描写のヌルさが嫌い!
・最後のつまらない原作改変にイラっ!
・ひぐらし実写オリジナルエピソードを作れない及川中監督?
・総評
・製作秘話
・ひぐらしのなく頃に誓 劇場版のオススメ度は?面白いのか?
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罪滅ぼし編を実写化した理由は?
「首を掻きむしり死んだ主人公の前原圭一が何故か生きてる?」 一見すると前作「ひぐらしのなく頃に劇場版」のラストが無かった事にするかの如く、一から物語が始める仕切り直し展開。それもその筈でこの「ひぐらしのなく頃に」は作品自体がサスペンスホラーでありながら、タイムループ物の側面もあるので、この様な構成になってるんですよね。と言う訳で登場人物達は同じでも前作の世界とは別の世界なのが本作。因みに原作の罪滅ぼし編というエピソードを実写化していて大まかな流れとしては 父親を騙す詐欺師の北条鉄平と間宮律子の2人を竜宮レナが殺す ↓ 竜宮レナを助ける為に圭一達が口裏合わせて死体を埋める ↓ 殺人を機に竜宮レナは疑心暗鬼となり狂気に取り憑かれる ↓ 生徒を人質にとり学校に立て篭るレナを圭一が止めようとする とまぁ、こんな感じで竜宮レナが大活躍ですねw。 そして本作から察するに罪滅ぼし編を実写化した理由として大きいのは、このひぐらし実写化プロジェクトが二部作となっている所かと思います。今回の実写化って言わば前作を前編と捉えるなら本作「ひぐらしのなく頃に誓 劇場版」は後編に当たるわけで何とか後編となる本作でひぐらし実写化プロジェクトを終わらさなければいけないのです。その事を考えると前編を鬼隠し編とするなら後編は罪滅ぼし編を映像化する事である程度、終わりへ持っていけるだろうとの及川中監督の狙いはビシビシ感じます。ただねぇ、ひぐらし実写化プロジェクトの締め括りを罪滅ぼし編でやろうとした結果、中々にヤバい出来になってますけどねw。 あと実写化した理由として考えられるのは竜宮レナって「ひぐらしのなく頃に」の顔とも言えるメインキャラなので、やっぱり実写化ではメインキャラを中心に描かなきゃな的な流れになるのも当然かと。そして竜宮レナっていうメインキャラを中心に描ける原作エピソードって罪滅ぼし編だけじゃん!みたいなノリだったのかなと勝手に推測しておりますw。
キャストの意外性!大石役の大杉漣のやり過ぎ演技に爆笑!
この実写版「ひぐらしのなく頃に」シリーズ唯一の良さと言えば、キャストの意外性ですよね。登場人物達のキャラを敢えて現実味ある性格に改変している意外性が功を奏してるのが、個人的にも好きな所なんですが、続編となる本作でも、その良さは継承されてます。 まずは美人局で竜宮レナの父親を騙す間宮律子ですが、アニメ版ではショートに露出度高いセクシー系の分かりやすいビッチ女だったんですが実写では髪も長くロングスカートを履いた感じの清楚系にアレンジされてます。この清楚系ビジュアルが間宮律子のキャラに意外と合ってるんですよ。美人局で子持ちの男を引っ掛ける女性ってアニメ版の様なセクシー系ではなく、現実の場合は清楚系の方が騙しの成功率って上がる気がするんです。男性は清楚系に弱いですから、絶対にw。なので実写の間宮律子の清楚感は正にリアルな美人局の雰囲気を感じ、「これゃ、レナの父親も騙されるわ」と納得出来てしまう説得力が実写版「間宮律子」にはあるんですよね。 そして、そして! 本作の登場人物で一番キャラ改変がなされているのが大石です。大石役を務めるのは大杉漣なんですが、大杉漣が演じる大石には大石っぽさが殆ど無くて、何処からどう見ても、大杉漣(笑)。オーバーアクション気味のコミカルさと時折見せる敏腕刑事としてのシリアス顔をコロコロ使い分ける独特の演技には大石らしさが全く無くて、余りにも似てなさ過ぎて爆笑してしまいます。そして爆笑してしまうのですが、大杉漣の独特のコミカル&シリアス演技には絶妙な不気味さが漂っているので、ひぐらしの世界観を壊すどころか、その世界観に溶け込んでるんですよね。何だかんだ言って、テレビや映画に出まくってる名脇役と言われる俳優の魅力って凄いなと改めて思う事となりました。
前田公輝らメインキャスト達の演技合戦が虚しくなるゴミ置き場のショボさ!
さて本作は原作やアニメの「罪滅ぼし編」に忠実な展開をしていくのですが、イチひぐらしファンとしてはすんごい不満な場面に出くわしてしまうのです。 その不満な場面とは竜宮レナが殺した死体をゴミ置き場に隠している所を圭一達が偶然見つけてしまう所です。殺人を侵し自暴自棄な竜宮レナに対して圭一、魅音、梨花、沙都子の4人は「友達だろ!」と熱い言葉を投げかけ、レナを助ける為に死体を埋めて無かった事にする計画を立てるんです。このシーン、原作やアニメでも大好きな所なんですよ、自分w。友情の為に倫理や常識を無視し、道を踏み外す若者達って感じがザ ・青春!な感じがして好きなのですが、実写である本作でも自分の好きなそのシーンが再現されていたかと言うと、うーむ、ダメダメでした。 ダメダメでしたがキャスト陣に不満は無いんです。竜宮レナが自暴自棄になる姿を演じる松山愛里は演技経験が乏しいながらも頑張ってますし、圭一役の前田公輝は若手ながら演技経験豊富な所を発揮し、友情に熱い圭一を違和感無く演じてます。梨花役あいか、沙都子役の小野恵令奈も年頃の女の子らしい感情を爆発させるフレッシュな演技で良い感じで。 そんなメインキャスト5人の演技合戦を長回しで撮影していく所も演者の緊張感が画面越しに伝わってきて、「おっこれは名シーンかも」と思ったのですが、ここに来て名シーンを台無しにする致命的なダメ要素が加わってきてしまうんです。 そのダメ要素とは、ゴミ置き場のショボさです。竜宮レナを説得し熱く友情を語る圭一達の姿は魅力的なのに、彼らがいるゴミ置き場が原作やアニメとは似ても似つかないショボさで「適当な岩場にゴミを飾り付けしましたよ」って感じのロケ地っぽさが出ていて、リアリティ無し。明らかに人為的に飾り付けされたゴミ置き場なので前田公輝らメインキャスト達の演技合戦が虚しく見えると言う最悪のシーンに。 この実写版ゴミ置き場の低クオリティ振りは前作でも目に付き、不満だったのですが、残念ながら本作でも改善されず低クオリティなままでしたね。結果、「罪滅ぼし編」の見所の一つであろう、ゴミ置き場のシーンが台無しになってしまいましたとさ、チャンチャン(怒)。
松山愛里の狂気の演技を台無しにする残酷描写のヌルさが嫌い!
罪滅ぼし編の特徴と言えば、殺人を機に狂気に取り憑かれていく竜宮レナの壊れっぷりが魅力ですが、その魅力が実写となる本作ではイマイチ表現出来て無いのです。竜宮レナの壊れっぷりを表現すべく、演じる松山愛里ちゃんは首を掻きむしるわ、叫ぶわの全力演技で奮闘しているのですが、それが活きてないのです。 何故なら、本作の残酷描写が余りにもヌルいからです(怒)。父親を騙した北条鉄平と間宮律子をレナが殺すシーンでも、殺害の瞬間を直接は描かないし、殺した死体をゴミ置き場で解体するシーンを省いている為、全ての残酷描写がヌルいのです。そのヌルい残酷描写が原因で竜宮レナの狂気や、ヤバさが半減してしまってるのです。特にアニメ版みたいな、何をするか分からない竜宮レナの壊れっぷりと比べても遠く及ばない感じでして。普通に実写ならではの、エグいリアルな殺人シーンやスプラッターな死体解体シーンを見せるだけで、ある種、原作やアニメ版を超える作品になれたのに、それすらしてないのが嫌いです。 このヌルい残酷描写は致命的となり、竜宮レナの怖さが表現出来ていないまま終盤の学校占拠シーンへと突入してしまう事に。 髪ボサボサでナタ持ってる竜宮レナの狂気のビジュアルは良いのに、学校で出くわす那智先生を何故か殺さないヌルさ。「いや、先生は殺しておいた方が良いでしょ!」とツッコミ入れたくなる支離滅裂な謎展開にげっそり。このヌルいヌルい残酷描写&チグハグな謎展開のダブルパンチにより竜宮レナが学校を占拠し圭一達を人質にするシーンも緊迫感が無いし、怖くも無いので全く盛り上がらない事態になってます。竜宮レナ役の松山愛里ちゃんには同情しますよ、ホント。彼女の演技を台無しにしてしまう及川中監督の腰の引けたヌルい残酷描写はマジで最悪です。
最後のつまらない原作改変にイラっ!
罪滅ぼし編を実写化するもゴミ置き場のショボさやヌルい残酷描写ゆえに観ていて気分も萎える一方。そのせいか、ラストの学校の屋根で繰り広げられる前原圭一vs竜宮レナの対決シーンという、罪滅ぼし編の中でも屈指の見所でさえ微妙な空気が漂ってしまう事態になっております。金属バットとナタによる2人の殺陣はクオリティとしても普通を下回る凡アクションの連続で盛り上がらないですし、なによりもこのラストを迎える頃には観てる此方も本作のイマイチっぷりに辟易していて、ラストなんてもうどうでもよくなってるんです(泣)。 そんな中、圭一役の前田公輝くんも竜宮レナ役の松山愛里ちゃんも、アクションはダメダメですが演技は頑張っていて、圭一とレナを違和感無い等身大のキャラとして何とか演じきっているのに、それ以外のダメ要素が多過ぎて台無し、、かわいそう(泣)。 そして2人の決着はつかず、何とレナが狙撃され死にかけるって言う、とって付けた様な実写オリジナル展開がブチかまされるんですが、「いや、そこだけ実写オリジナルにしても意味ないじゃん!」って感じですよ。最後の最後で、つまらない原作改変を目撃してしまいイラッとしちゃいましたw。 そんでもって罪滅ぼし編を忠実に再現しちゃった話の展開ゆえに、前作と本作を繋ぐ謎の一つであるタイムループの説明が中途半端となり、鷹野って女や古手梨花の本当の正体も殆ど明かされず、またまた尻切れトンボのラストを迎える最悪さがもう嫌い過ぎます。
ひぐらし実写オリジナルエピソードを作れない及川中監督?
本作に対して自分がイラッとしまくっている理由としては劇中で散見されるダサい演出なんですよね。竜宮レナの殺害シーンでは映像を赤くして如何にも不穏な空気ですよって感じを出したり、レナが人を殺す瞬間に、これみよがしに空が暗くなり雷が轟く所。おまけに圭一が前作の記憶を思い出しフラッシュバックする映像。そのどれもがマジでダサい演出で70〜80年代のダメ日本映画を観てる気分になるんですよねぇ。 ダサい演出に加え、罪滅ぼし編を実写化する上での物語上の工夫が殆ど見られない本作に強く感じるのは、製作陣の、特に及川中監督のクリエイティブ精神の欠如なんです。原作やアニメ版「ひぐらしのなく頃に」に強く惹かれるのは圧倒的なクリエイティブ精神を感じるからなんですよね。先の読めない展開に、やり過ぎな残酷描写含め、新しい事をやって人を驚かせようするクリエイターの気合いをバシバシ感じるからこそ好きになるし作品へのリスペクトが生まれる訳なんですが、本作にはそれが無い! って言うか普通に「及川中監督!実写オリジナルエピソード作れよ!」って思うんですよね。 例えば雛見沢症候群により村人がゾンビと化す展開や、スピンオフ的な立ち位置で大石蔵人を主役にしてポリスアクション物やるとか。それが無理ならもっと大胆な原作改変をやって欲しかったなぁと思います。鷹野や古手梨花の正体やタイムループ現象は一切描かず、雛見沢連続殺人事件だけを描く推理ミステリーっぽい展開しちゃうとか。金田一少年の事件簿みたいな(笑)。 そんでもって真犯人は知恵先生とかだったら、意外性抜群でひぐらしファンの間で話題になるだろうになぁとか思うのです。 こう言う挑戦的なアプローチをしても、ひぐらしファンは怒らない気がするんですよね。だってひぐらしファンは「ひぐらしのなく頃に」の意外性やクリエイティブ精神に惹かれている気がするので(多分w)。 原作者の竜騎士07さんも、そういった挑戦的な原作改変は快く了承してくれそうだけどなぁと勝手に思ってますw。 それなのにねぇ、本作ときたら原作に忠実さをアピールしてるのに所々、ショボくてヌルくて、酷いラストで結果、「忠実ってそういう事じゃねぇよ!」とファンとして絶叫したくなる残念さです。
総評
竜宮レナ役の松山愛里ちゃんの狂気の演技は頑張ってるし大石役の大杉漣は爆笑出来るのですが、ゴミ置き場のショボさと残酷描写のヌルさに萎え萎えです。及川中監督のクリエイティブ精神の欠如が招いたって言うか原作やアニメ人気にビビって中途半端な原作改変しか出来なかったのかもw。まぁ酷いラストの酷い映画でした。 どうせ実写にするなら賛否両論込みで完全オリジナルエピソードが観たかったなぁと思いながら、トボトボと歩いて家に帰りましたw。
製作秘話
- 本作は前作の撮影から約1ヶ月後同じロケ地で撮影された。撮影された時期は9月だったが現場は寒く演者にはホッカイロが配られた。
- 傷口からウジ虫が湧くシーンでは本物のウジ虫を使用して撮影された。
- ゴミ置き場でレナを圭一達が説得するシーンは長回しと長セリフで撮影された為、NGも多く出た。沙都子役の小野恵令奈曰く「こういう重要なシーンは撮影中盤辺りに撮るのかと思ってたら撮影が始まったばかりの時に撮ったので驚いた」と語っている。
- 大石役の大杉漣は演技に大幅なアドリブを加える事も多く、及川中監督も苦笑いしながらNGを出す事が多くあった。
- 学校の担任である知恵先生役の三輪ひとみはカレーが苦手な為、生徒達と給食でカレーを食べるシーンでは演技に苦労したとの事。
- 圭一役の前田と魅音役の飛鳥が屋根で一緒にフルーツ牛乳を飲むシーンでは撮影時にフルーツ牛乳の甘い香りに誘われて蜂が大量に集ってきて撮影に苦労した。
- 本作は多くの謎を残したままラストを迎える事について及川監督は「安易に前作の解答編をやるつもりは無かった。あくまでも広大なひぐらしワールドの中で描かれる一つのアナザーストーリーとして描きたかった。結果、本作は罪滅ぼし編を軸にしながらも謎を残すラストにした」と語っている
- 圭一とレナが屋根で戦うシーンの備えレナ役の松山愛里は殺陣の稽古を行った。松山曰く「最初は私、結構動けるし大丈夫だろと思っていたんですが、稽古を終えると筋肉痛が凄くて、正直舐めてました」と苦笑混じりに語っている。
ひぐらしのなく頃に誓 劇場版のオススメ度は?面白いのか?
オススメ度 30点
何か個人的に嫌い❗️
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本ページの情報は2021年2月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。
↓Amazonでポチった事を若干、後悔w
オススメ度とは?
0〜20点・・・サイテー激ヤバ作
30〜40点・・・何か個人的に嫌い
50〜60点・・・個人的に超好き
70〜80点・・・万人に勧める良作
90〜100点・・・最高な超傑作